マーケットトレンド の 風力タービンのメンテナンス、修理、オーバーホール (MRO) 産業
洋上風力発電は大きな成長が見込まれる
- エネルギー需要が高まるなか、クリーンなエネルギーを供給できる再生可能エネルギーの導入に、主要国や企業が舵を切っている。先進技術を駆使した洋上風力発電の導入は、国や企業の高額投資を引き付けている。
- 導入場所別では、コスト低下と技術の向上により、予測期間中も洋上産業が世界の風力タービン産業投資の牽引役であり続けると予想される。
- 世界のオフショア市場は2020年も安定的に推移し、新規増設量は2019年とほぼ同じ606万kWとなった。オフショアの累積設備容量は3,530万kWに達し、前年比21.7%増となった。
- 洋上風力産業は2020年に大規模な設置を目撃した。例えば、中国は単年度で3GWの洋上風力を設置し、オランダ(設置量150万kW)、ベルギー(設置量706万kW)、英国(設置量483万kW)、ドイツ(設置量237万kW)がこれに続いた。しかし、英国における新規導入量の伸びの鈍化は、主に差金決済契約(CfD)1ラウンドとCfD2ラウンドのプロジェクト実行のずれによるものであった。さらにドイツでは、新規設置の鈍化は主に、不利な条件と短期洋上風力発電プロジェクト・パイプラインの水準低下によるものであった。
- より沖合など、より複雑で困難な環境での風力タービンの導入が増加すると予想され、風力タービンの能力増強と相まって、風力タービンの運転部品にさらなる圧力がかかっている。その結果、ギアボックスなどの部品の早期故障が発生し、風力発電所の大幅な低迷を招く可能性が高い。さらに、MROサービスの提供にかかるコストは、陸上サイトよりもはるかに高い。材料やサービスの増加、アクセスしにくい地形などの要因が、陸上施設に比べて成長を抑制している。
- したがって、上記の点から、洋上風力発電の導入は、予測期間中に風力タービンのメンテナンス、修理、オーバーホール市場で大きな成長を目撃すると予想される。
アジア太平洋地域が最も急成長する市場になる見込み
- アジア太平洋地域は、中国の貢献により、世界で最も急速に成長している風力エネルギー市場である。この地域の累積設備容量は346.70GWで、そのうち陸上風力発電の設備容量は336.29GW、洋上風力発電の設備容量は10.41GWである。
- 2020年時点で、中国はアジア太平洋地域で最大の風力発電設備容量、約278.32GWを有している。また、陸上風力発電の世界市場でもトップクラスである。2020年、中国は新たに5,893万kWの風力発電を追加し、その内訳は陸上設備が4,894万kW、洋上設備が999万kWである。これらのことは、中国がアジア太平洋地域で最大の保守・修理・オーバーホール・サービス市場になると予想されることを示している。
- 一方、風力発電設備容量でアジア太平洋地域第2位のインドは、2020年時点で3,862万5,000kWにとどまっている。しかし、人口13億5000万人のインドでは、今後10年間で電力需要が倍増すると見込まれている。そこでインド政府は、2022年までに再生可能エネルギー容量を1億7500万kW、そのうち風力発電を6000万kW、2030年までに4500万kW、そのうち風力発電を1400万kWとする目標を掲げている。韓国は、120mのハブ高で695GWという膨大な技術的ポテンシャルを誇っている。
- 韓国はまた、2030年までに6380万kWの再生可能エネルギー容量を持つことを目指しており、そのうち約1800万kWは風力発電によるものである。Orsted社などの国際的な企業は、韓国は風力発電、特にその地理的特性を考慮した沖合地域での風力発電で成功する可能性があると述べている。
- このことから、予測期間中、世界の風力タービン保守・修理・オーバーホール事業に携わるプレーヤーにとって、アジア太平洋地域は優れたビジネス先となることが予想される。