マーケットトレンド の ベトナムのセルフストレージ 産業
都市化の進展と居住スペースの縮小がベトナムのセルフストレージ需要を牽引する見通し
- アジア太平洋地域は、2030年までに都市人口が最も多くなると予想されている。世界の消費支出において大きなシェアを持つこの地域は、セルフストレージ業者にとって収益性の高い市場として台頭してくると予想される。
- ベトナムにおける都市化の進展は、市場成長を積極的に後押しする重要な要因の一つである。都市人口の増加は、都市部における居住スペースの狭小化と割高化を意味し、頻繁に移動する賃貸住宅利用者の増加をもたらす。ワールドバンクによると、現在、ベトナムの都市人口は全人口の37%近くを占めている。ベトナムの都市人口の増加は、セルフストレージ市場にチャンスをもたらしている。
- アジアでは、セルフストレージ市場は人口が密集し、より豊かな地方都市で確立されている。シンガポール、香港、東京、ハノイ、サイゴンの平均住宅面積は、この地域で最も小さい。平均的な住宅の広さは、イギリスが1,000平方フィート近く、アメリカが2,000平方フィート以上であるのに対し、これらの都市では800平方フィート以下である。
- ベトナムの都市化に伴い、同国ではeコマース部門が成長している。Eコマース部門の台頭により、セルフストレージ事業者は国内で拡大している。例えば、最近ではKingKhoがハノイ市に初のセルフストレージ施設をオープンした。新しく建設された施設は、1~100平方メートルまでの4種類のストレージ・ユニットのサイズで、1,000平方メートル以上のスペースで構成されている。
ビジネス・セルフストレージ・タイプが予測期間を通じて大きなシェアを占める見込み
- ベトナムでは、セルフストレージは、長期リース契約を結びたくないビジネスや、スペースの大半がかなりの期間使用されない大型倉庫の代わりにセルフストレージ事業者から柔軟なスペースを借りることを好むビジネスにとって、柔軟な選択肢を提供する。セルフストレージ・スペースを利用する企業は、主に中小企業や新興企業で、商品の保管や陳列にも利用されている。
- 中国では、人件費の高騰、コストのかかる米国との貿易戦争、COVID-19の発祥により、製造業のエコシステムがある程度乱れている。このため、ベトナムは東南アジアの新たな製造拠点として浮上するチャンスを得た。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の失敗にもかかわらず、TPP包括的および先進的協定の成立とEUベトナム自由貿易協定(EVFTA)の最終化が間近に迫っているため、投資家の信頼感は高まっている。同国での事業立ち上げの増加に伴い、今後数年間は同市場のビジネス分野を押し上げるだろう。
- 同国における電子商取引の成長も、このセグメントの成長を後押ししている。電子商取引業者は、ラスト・マイル・デリバリーを活用するためにセルフストレージ・スペースを利用している。ベトナムのストレージ事業者の中には、Eコマース事業者が買い物客に荷物を預けて後で受け取ることができる保管庫を提供しているところもあり、ラストワンマイルデリバリーに関する困難が緩和されつつある。