マーケットトレンド の アラブ首長国連邦の石油とガスの上流 産業
陸上探査・生産活動の増加が市場を支配
- アラブ首長国連邦は中東の石油生産量の13.2%以上を占め、2020年の生産量は日量366万バレルとなる。また、2020年時点の同地域の確認石油埋蔵量の11.5%を占めている。
- 2020年時点の石油埋蔵量は978億バレル(bbl)、ガス埋蔵量は5.9兆立方メートル(TCM)である。総埋蔵量の約90%はアブダビにあり、ドバイ、シャルジャ、ラスアルハイマがそれに続く。陸上・海上を問わず、大部分の埋蔵地は比較的よく探鉱されているが、最近の掘削でいくつかの重要な発見があった。
- 2021年12月、国際石油開発帝石は子会社のJODCO Exploration Limited(JEL)を通じて、アラブ首長国連邦アブダビのオンショア・ブロック4で2021年5月から8月にかけて試掘井を掘削した結果、複数の在来型石油、コンデンセート、ガス柱を発見したと発表した。
- また、アラブ首長国連邦の最高石油評議会(SPC)は2020年11月、アブダビにおいて在来型原油20億バレルに加え、非在来型原油約220億バレルと推定される資源を新たに発見したと発表した。これにより、同国における新規の石油・ガス上流プロジェクトへの参入を補うことが期待される。
- さらに、成熟しつつある油田からの生産に対抗するため、同国は油田拡張プロジェクトや増進回収法(EOR)適用への投資を増やす計画である。
- したがって、上記の要因に基づき、予測期間中、陸上での探査・生産活動が増加し、同国の石油・ガス市場を支配すると予想される。
石油・ガス投資の増加が市場の需要を牽引
- 2021年現在、アラブ首長国連邦は石油輸出国機構(OPEC)第6位の原油生産国、第4位の石油液化製品生産国である。アラブ首長国連邦(UAE)経済にとって石油・ガス部門は不可欠であり、国の歳入に大きく貢献している。
- 2020年現在、アラブ首長国連邦の天然ガス生産量は554億立方メートルで、2014年の529億立方メートルを比較的上回っている。同国は今後数年間、天然ガス探査への投資を大幅に増やす計画を策定している。
- 2021年11月、アブダビ国営石油会社(ADNOC)は、2030年までに原油生産能力を日量500万バレル(mmbpd)に引き上げ、アラブ首長国連邦(UAE)のガス自給を推進するため、掘削の拡大を可能にする最大約60億ドル(220億AED)相当の投資計画を発表した。
- さらに、アブダビ国営石油会社(ADNOC)は2021年12月、UAEの石油・天然ガス埋蔵量の増加を目指し、2022~2026年の設備投資計画に1270億米ドルを投資する計画を発表した。
- 国内外の投資によっていくつかの主要プロジェクトが経済的に実行可能なものになることが、予測期間中のUAE石油・ガス上流市場の原動力になると予想される。