マーケットトレンド の アラブ首長国連邦の石油とガスの下流 産業
精製部門は著しい成長を遂げるだろう
- アラブ首長国連邦は中東・アフリカ最大の石油・ガス産出国のひとつである。石油輸出国機構(OPEC)によると、2019年の値(日量305万8,000バレル)に対し、2021年時点で同国の原油生産量は日量271万8,000バレル程度となっている。
- サウジアラムコの石油・ガスCAPEXシナリオとは対照的に、アラブ首長国連邦(UAE)は国の成長戦略の一環として、国内の石油・ガス部門に多額の投資を行っている。例えば、2020年11月、アブダビの最高石油評議会(SPC)は、UAE国営石油会社アブダビ国営石油会社(ADNOC)の2021~2025年のCAPEXプログラム1220億米ドルを承認した。CAPEX計画の承認に続き、SPCは220億バレルの非在来型石油資源の回収可能量と20億バレルの在来型石油埋蔵量の追加を発表した。
- アラブ首長国連邦の精製処理能力は大幅な伸びを示しており、2014年には日量643千バレル、2021年には日量939千バレルとなる。この傾向に伴い、精製市場も大きく成長すると予想される。
- 中東・アフリカは、原油・天然ガス生産の増加とエンドユーザーからの需要増に伴い、精製インフラが急成長している地域のひとつである。
- 膨大な天然ガスと石油の埋蔵量と大規模な精製能力を持つアラブ首長国連邦は、今後数年間で大きな成長を示すと予想される。
政府の取り組みと今後のプロジェクトが市場を牽引
- アブダビにおける石油精製品の総輸出量は継続的な伸びを示している。例えば、Brooge Petroleum Gas Investment Co.は、フジャイラにバンカー燃料の生産を目的とした日量25万バレルの精製能力を持つ製油所を建設中である。このような新規プロジェクトにより、川下市場は今後成長すると予想される。
- 2022年6月現在、同国の海洋地域では約35基の陸上リグと13基の海上リグが稼働している。同国の天然ガス生産量は 2021 年に 570 億立方メートルに達した。
- ADNOCの川下活動の拡大は、2030年統合戦略に不可欠である。ADNOC は市場シェアを拡大するため、下流事業のアップグレード、既存資産の活用、新たな下流投資の実施に 450 億米ドルを投資している。
- 例えば、2022年4月、Reliance Industries (RIL)とAbu Dhabi Chemicals Derivatives Company RSC (TA'ZIZ)は、アブダビのRuwaisにおける化学プラントの建設に関する株主協定に調印した。その意義に加え、この開発は、幅広い産業用途で広く使用されているクロールアルカリ、二塩化エチレン(EDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)の生産に焦点を当てる。
- 2021年12月、Maire TecnimontはBorouge拡張プロジェクトで約35億米ドルに相当する3件のEPC契約を獲得した。この契約により、同社はBorouge 4プロジェクトで、年産70万トンのポリエチレンユニット2基と1-ヘキセンユニット1基の計3基を開発する。このプロジェクトは2025年までに完成する予定である。このため、川下分野での投資の増加と今後のプロジェクトが、予測期間中のUAE EPC市場を牽引するとみられる。
- 石油・ガス下流市場は、政府の今後の案件や契約、国際企業の関心の高まりにより、大幅な成長が見込まれている。