マーケットトレンド の ウクライナの貨物と物流 産業
脆弱な道路インフラに制約されるウクライナ
過去数年間、ウクライナはEUとの貿易関係を強化してきた。これは、連合協定によってもたらされたプラスの刺激と、ロシアとの貿易関係の喪失を補う必要性というマイナスの刺激の両方が原動力となっている。2013年から2018年にかけて、ウクライナの国際貿易に占めるEUの割合は31%から42%に増加し、2018年の貿易額は434億米ドルで危機以前の水準(2013年は438億米ドル)にほぼ達し、2015年から50%以上増加した
しかし、将来の貿易成長は物流の制約を受ける。2018年と2019年、ウクライナの輸送業者は、EU諸国へ貨物を陸路で配送する能力の制限に直面した。ポーランドは、貿易量が増加しているにもかかわらず、ポーランドの道路を通行または通過することを許可されたウクライナの貨物トラックの数が削減されたため、最大の難関であることが判明した。EUとウクライナの貿易における道路輸送の役割は大きい。ユーロスタットによると、2018年のウクライナの輸出の38%、EUからの輸入(ユーロ建て)の81%を道路運送業者が占めている。ウクライナの鉄道、海港、航空輸送能力は限られており、必ずしも費用対効果が高いとは限らないため、輸送手段を切り替えるのは難しいかもしれない
ウクライナの主要道路網はウクライナの全主要都市を結び、近隣諸国との国境を越えるルートを提供している。ウクライナ領内の国際高速道路の総延長は8,600kmを超える。しかし、ウクライナの道路が極めて劣悪な状態にあることが、ヨーロッパで最も交通事故が多い道路のひとつに挙げられている理由のひとつである
ウクライナ政府の評価では、国内の道路や橋の状態は、旅客や貨物の迅速かつ安全な輸送、および通過交通の発展を可能にしていない。ウクライナの道路インフラは完全に老朽化しており、政府の推計によると、道路の97%は一般的な改修や継続的な補修が必要で、約9,600の橋は近代的な技術要件を満たしておらず、そのうち1,923の橋は早急な補修が必要で、86の橋は倒壊の危険性がある