マーケットトレンド の トマト 産業
トマトの栽培と面積
野菜の栄養価の高さに対する意識の高まりは、多様な食生活や栄養ニーズを満たすために、トマトを含む野菜の消費を増加させた。こうした要因により、トマトの需要が増加している。そのため、需要の増加と魅力的な価格とともに、需要を満たすために生産量と栽培面積も増加している
世界のトマト生産量は、2016年の1億7,730万トンから2020年には1億8,680万トンに増加する。さらに、世界中でトマトの栽培面積が大幅に増加している。例えば、世界のトマト栽培面積は2016年から2020年の間に4,854.4千ヘクタールから5,051.9千ヘクタールに増加している
消費者の新鮮なトマトへの嗜好と、室内栽培などの最新技術がトマトの国内生産を押し上げている。気候の変化、害虫の抵抗性、インフラの不備、収穫後の損失などから、農家が収穫量を増やすための新しい高収量種やハイブリッド種の開発が必要となった。収穫量の増加は、トマトの需要増加に対応するのに役立つだろう
温室トマト生産の出現は、米国の生鮮市場向けトマト産業を後押ししている。温室トマト生産は、生産者が新鮮なトマトを構造物の中で栽培することを可能にし、時には気候制御や代替土壌の方法を用いることもある。1エーカー当たりの収量が増加し、年間を通じて生産を維持する生産者の能力向上に役立っている
アジア太平洋地域が最も急成長している市場
アジア太平洋地域は市場で最も急成長している地域の一つである。トマトの高強度栽培の増加が、この地域の市場成長を促進する主な要因である。トマトは、インド政府の園芸作物最優先リストにおいて、ジャガイモ、タマネギに次いで3番目に重要な作物のひとつである。これら3つの主食作物は、農民の生活条件を改善するための「グリーン作戦と呼ばれるインド政府のイニシアチブにより、全国で栽培されている
中国では、トマトの市場価格の上昇に伴い農家の作付け意欲が高まり、高収量が作付け面積の拡大を促進したため、トマトの作付け面積が継続的に増加している。商務部によると、2021年の果物・野菜を含む消費財の小売売上高は6.8兆ドルに達し、2020年から約12.5%、2019年から約8%増加した。生鮮食品分野では、トマトが売上増に貢献した主要野菜のひとつである
さらに、トマト栽培における人工知能(AI)技術の活用は、この地域、特に日本における重要な新興トレンドの一つである。最近では、2021年6月にNEC株式会社とカゴメ株式会社が、国内のトマト農家向けにAIを搭載した農業支援システムを共同開発したと発表した。同社によれば、新たに開発したAI技術は、農場での試験運用において、トマトの収穫量を30%増加させる一方で、肥料の使用量を平均より20%削減する結果をもたらしたという。このため、AI技術などの最新技術の活用がトマト市場を牽引すると予想され、予測期間中の成長が見込まれている