マーケットトレンド の グローバル組織シーラント 産業
フィブリンシーラントは予測期間中に成長が見込まれる
フィブリンシーラントは、創傷部におけるトロンビンとフィブリノーゲンの反応によって血液凝固カスケードの最終段階を再構築し、出血を止める架橋フィブリン凝血塊を生成する。これらの製剤は一般に、標準的な手術手技による出血のコントロールが有効でない、あるいは実用的でない場合に、止血の補助として使用される。通常、骨と軟部組織の両方が損傷または切断されるため、適応する止血手段を使用しなければならない
経済協力開発機構(OECD)の2022年9月最新版によると、2020年にカナダ、フランス、ドイツで行われた冠動脈バイパス移植手術は、それぞれ17,149件、16,389件、38,859件であった。このような心臓手術の高い普及率が、このセグメントの成長を押し上げると予測されている
技術の進歩や製品承認の増加、主要企業による提携や買収が市場成長に貢献している。例えば、2021年2月に武田薬品工業はTachoSil Fibrin Sealant PatchをCorza Health, Inc.に売却した。また、2020年1月にはテルモ株式会社が新しい外科用シーラント「アクアブリッドを欧州・中東・アフリカ市場で発売した。アクアブリッドは大動脈手術用に特別に開発されたシーラントである。血液と反応して弾性層を形成し、組織にしっかりと密着する。このような開発により、予測期間中の同分野の成長は増大すると予測されている
予測期間中、北米が組織シーラント市場を支配する見込み
北米は、骨損傷やスポーツ障害の増加、人工股関節置換術や人工膝関節置換術の件数の増加、高齢者人口の増加、同地域における業界プレイヤーの強い存在感、より良い医療インフラ、利用可能な技術に関する人々や医療業界関係者の認識、同地域における市場プレイヤーの高い集中などの要因により、市場を支配すると予想される
経済協力開発機構(OECD)の2022年9月最新版によると、2020年にカナダで実施された人工膝関節置換術は54,918件、人工股関節置換術は54,991件であった。人工膝関節置換術と人工股関節置換術の負担が大きいことから、同地域における組織シーラントの成長が促進されると予測される
また、米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention 2021)の報告によると、米国では毎年数百万人の高齢者(65歳以上)が転倒している。転倒の5件に1件は骨折などの重傷を負っている。毎年、300万人の高齢者が転倒による怪我で救急外来で治療を受けている。高齢者は怪我をしやすく、そのためこの年齢層は治療処置に組織シーラントを必要とする可能性が高いことが浮き彫りになっている
さらに、カナダ統計局の2021年国勢調査によると、カナダでは2021年に65歳以上の高齢者が約7,021,430人おり、そのうち男性が3,224,680人、女性が3,796,750人となっている。同国のこのような高齢者人口の多さは、同地域における組織シーラントの高い有用性の可能性を押し上げ、市場の成長を後押しする
従って、上記の要因から、北米地域における市場の成長が期待される