マーケットトレンド の 表面弾性波センサー 産業
ヘルスケア分野は大きな成長が見込まれる
- ワイヤレスモニタリングも可能なフレキシブル基板を用いた低コストセンサ適応性への継続的な要求が、ヘルスケア業界におけるSAWセンサのニーズを後押ししている。バイオセンシング・アプリケーションは、ヘルスケア業界で最も一般的なSAW技術アプリケーションの1つであり、特定疾患のPOC(Point of Care)検査・分析装置への採用が増加している。
- ヘルスケアやバイオメディカル分野では、迅速、小型、高精度、ポータブルな診断センシングシステムへの要求が高まっているため、バイオセンサーやMEMSへの投資が増えている。SAWセンサーは、がん細胞検出、心電図(ECG)、生体電位モニタリング・バイオセンサー、心臓発作モニタリング、血糖モニタリング、ウェアラブル・バイオセンサーの開発などに使われるデバイスに有用である。
- もう一つの有望なアプリケーションは、新生児ケアユニットでの胸部音のモニタリングで、小型SAWセンサーは新生児の不快感を最小限に抑える。ハンドヘルド・モニタリング・デバイスの採用と開発が増加していることも、SAWセンサーの採用範囲を広げている。
- 近年、SAWセンサーは、エボラ出血熱、HIV、Sin Nombre、炭疽菌など、注目度の高い複数の細菌ウイルスの検出にますます使用されるようになっている。最近のCOVID-19パンデミックも、多くのSAWメーカーがこのアプリケーションをターゲットにする動機付けとなっている。
- 例えば、2022年8月、マサチューセッツ工科大学(MIT)のエンジニアは、健康モニタリング用の新しいカテゴリーのワイヤレスウェアラブル皮膚様センサーを開発した。この新しいセンサーは、圧電物質でできた極薄の半導体フィルムが皮膚に付着し、身体の振動を感知するもので、「e-skinと呼ばれる予定だ。このような様々な組織による取り組みが、ヘルスケア市場におけるSAWセンサーの需要拡大に寄与すると予想される。
- 同様に、COVID-19の普及によるヘルスケア市場におけるワイヤレス・遠隔モニタリング・システムの需要増加も、市場成長に寄与すると予想される。
北米地域が大きな成長を遂げる見込み
- 米国は、北米地域における弾性表面波センサの主要市場の1つであり、カナダがこれに続く。北米市場は、同地域の自動車産業の安全関連義務付けでの応用により、SAWセンサの需要増加が見込まれている。
- 北米地域での技術進歩の増加に伴い、多くの産業がこれらのセンサを活用すると予想される。また、自動車、航空宇宙、ヘルスケア、家電、産業分野など、さまざまな産業で複数の用途があることも、こうしたセンサーの需要が急速に高まっている背景にある。
- さらに、この地域市場は、政府や研究機関によって行われるさまざまな革新的研究開発活動によっても成長している。最近のCOVID-19パンデミックのような市場シナリオは、こうした研究活動への支援と需要をさらに煽っている。
- さらに、北米地域は、多くの著名なシステム・サプライヤー、センサー・メーカー、大手半導体企業の存在により、これらのセンサーの最も技術的に進んだ応用市場の一つでもある。この地域の巨大な規模、消費者の豊かさ、医療機器メーカーの競争の激しさが、この地域を弾性表面波センサーメーカーにとって有利な市場にしている。
- さらに、半導体業界関係者も、予想されるMEMS需要から利益を得ようとさまざまな方法を試みている。同市場は、将来的に技術の一部を外注するIDMや既存のファブレス企業を構成すると予想される。同市場では、競争に勝ち残るため、さまざまな企業がこの分野に関連した開発や拡大活動をいくつか行っている。
- 例えば、2021年12月、Microchip Technology Inc.は、20ギガヘルツ(GHz)までの周波数をカバーする新しいMMICとディスクリートトランジスタにより、窒化ガリウム(GaN)無線周波数(RF)パワーデバイスのポートフォリオを大幅に拡大すると発表した。同社のSAWセンサーや微小電気機械システム(MEMS)発振器、高集積モジュールは、マイクロコントローラー(MCU)とRFトランシーバー(Wi-Fi MCU)を組み合わせたもので、BluetoothやWi-FiからLoRa設計まで、主要な近距離無線通信プロトコルをサポートする。