マーケットトレンド の 火力発電所・製油所向け蒸気ボイラ市場 産業
市場を支配する水管ボイラー
- 水管ボイラーは、管内を流れる水から蒸気を発生させ、石炭や天然ガスなど様々な化石燃料の燃焼によって加熱する。発生した蒸気は約250バールの高圧で蒸気タービンに送られ、タービンを回転させることで発電に利用される。
- 水管式ボイラーは効率が高く、圧力範囲は250バール前後である。蒸気圧を上げる時間が短く、負荷変動への柔軟性が高く、高い蒸気発生率で運転できる。
- 水管ボイラーは蒸気または蒸気を発生させてタービンを回転させ、発電する。石炭、ガス、石油などの化石燃料を燃焼させることにより、管内で水を沸騰させる。天然ガスで運転される発電所は、石油や石炭に比べてかなりの量の二酸化炭素を排出する、最も環境に優しい発電所である。
- 2021年現在、世界には建設前の石炭火力発電所が176.9GW近くある。中国は、建設中の石炭火力発電所の数が最も多い主要国である。これらのプラントの建設は、近い将来、蒸気ボイラーの市場成長を増加させると推定される。
- さらに、世界的に石炭火力発電所の数が減少しているにもかかわらず、(インドなどの)国々は依然として新しい石炭火力発電プロジェクトを支持している。インドの石炭火力発電所のうち約4000万kWは、財政的なストレスを抱えているか、倒産の危機に瀕している。2010年には39GWであったのに対し、2021年には450万kW未満の新規容量しか稼働していない。過剰設備と安価な自然エネルギーとの競争により、低負荷率は石炭発電所の投資回収を困難にしている。石炭火力発電にとってこのような不利な市場環境にもかかわらず、この地域の政府は新規発電所への投資を続けている。
- 2022年7月、株式会社JERAは子会社のJERAパワー武豊合同会社を通じて、愛知県知多郡武豊町竜宮1-1にある武豊火力発電所5号機の営業運転を開始した。同社はここ数年、老朽化した設備の更新を進めてきた。この高効率石炭火力発電所は超々臨界圧(USC)発電技術を備えている。
- 2022年現在、ベトナムでは容量1.2ギガワットのQuang Trach 1石炭火力発電所が建設中で、推定発電所投資額は約12.8億米ドルである。このプロジェクトは2025年までに試運転が開始され、年間最大84億キロワット時を発電する予定である。
- これらのプラントの建設は、近い将来、蒸気ボイラーの市場成長を増加させると推定される。
アジア太平洋地域が市場を支配する
- 2021年現在、火力発電所と製油所の数が最も多いのはアジア太平洋地域である。同地域の人口増加と都市化の進展に伴い、予測期間中、エネルギーと電力に対する需要は増加すると予想される。
- 2022年7月現在、同地域には約1,751基の石炭発電所があり、火力発電所全体の大半は石炭によって運営されている。その理由は、他の燃料に比べて石炭の価格が安いからである。しかし、気候変動に対する意識の高まりとともに、この地域では近い将来、石炭火力発電所の利用が減少する可能性が高い。
- 2022年7月現在、この地域では176基近くの石炭発電所が計画されている。これらのプラントの建設は、今後数年間、蒸気ボイラーの市場成長を増加させると予想される。
- 発電所とは別に、この地域の石油精製能力は日量36,478千バレルである。この地域の石油精製能力は日量36,478千バレルで、世界の石油精製能力の35.79%近くを占めており、予測期間中も精製能力の増加が見込まれている。この地域では中国が突出しており、2021年には世界の石油精製能力の16.67%に寄与する。さらに同国は、2023年には同地域の原油精製能力の44%を占める予定である。
- インドネシア政府は、2018年から2025年にかけて精製能力を2倍以上に引き上げ、日量220万バレルに到達させる計画を発表した。こうした政策の結果、大規模な製油所や石油化学プラントの建設・アップグレードプロジェクトが控えており、現在進行中である。
- 2022年10月、インドネシアの国営石油・ガス会社であるプルタミナは、来年、製油所の建設・拡張に最大500億米ドルを投資する意向を示した。この投資の約半分は、ロシアの国営エネルギー企業ロスネフチとのグリーンフィールド・プロジェクトの開発に充てられる。新製油所の完成により、原油精製能力は日量30万バレル増加する。
- 2022年11月、インド石油公社(IOCL)とその子会社チェンナイ石油公社(CPCL)、その他のシード・エクイティ・パートナーは、インド・タミル・ナードゥ州でナガパティナム製油所・石油化学プロジェクトを開発する合弁会社を設立した。
- 同地域で建設中および計画中のこうした製油所は、予測期間中の市場成長を高めると予想される。