マーケットトレンド の 東南アジアの石油・ガスEPC 産業
川下部門が市場を支配する
- 東南アジアの石油精製セクターは、化学、石油化学、運輸などの業界からの精製製品需要の増加により、著しい成長を遂げている。同地域の累積人口は2030年までに約13%増加すると予想されているが、アジア開発銀行によると、COVID-19の大流行により、同地域の成長率予測は変わらず、2022年には7%、5.3%と若干低下している。
- BP Statistical Review of World Energy 2021によると、シンガポールの精製能力は日量1,514千バレルと最も大きく、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、その他の東南アジア諸国がこれに続く。同地域の精製能力は、ベトナムを除けば過去5年間目立った拡大が見られず、EPC市場プレーヤーにとっては非常に少ない機会しかなかった。
- しかし、石油製品の需要が増加し、各国が需要に対応するために自給自足を目指していることから、同地域の下流インフラは今後数年間で大幅に増加すると予想される。インドネシア、マレーシア、ブルネイ、シンガポール、タイ、ベトナム、フィリピンなどは、現在の製油所を拡張するか、新しい製油所を建設する計画を策定している。
- マレーシアは過去20年間に精製活動に多額の投資を行い、長年シンガポールの製油所に頼っていた石油製品需要の大半を国内で賄えるようになった。さらに、マレーシアのケルテ、ゲベン、パシル・グダン・タンジュン・ランサットに3つの主要石油化学コンビナート(IPC)が設立された。
- シェブロンのカルテックス、エクソンモービル、シェルPLCなど多くの国際企業が、多くの石油化学・精製資産を含むシンガポールのエネルギー部門に多額の投資を行っている。2019年5月現在、エクソンモービルは同国に180億米ドル相当の資産を有しており、同社の下流・化学事業のアジア太平洋地域のハブとして機能している。
- さらに、ブルネイやベトナムのような経済は、下流部門でいくつかのEPC契約の流入を目撃する兆しがある。ブルネイでは、2020年8月に契約が締結されたPulau Muara Besar Refinery Petrochemical Complexのフェーズ2など、今後数年間に複数の大型石油・ガス下流プロジェクトが操業を開始する予定である。
- 以上のことから、東南アジアの石油・ガスEPC市場は下流部門が支配的であると予想される。