マーケットトレンド の 東南アジアのリチウムイオン電池 産業
市場を支配する自動車セクター
- ガソリンや天然ガスなどの燃料費の高騰や、各国における排ガス規制の要求の高まりにより、従来の自動車から電気自動車(EV)に注目が移っている。電気自動車は効率が高く、電気代と相まって、移動に必要なガソリンやディーゼルを充填するよりも電気自動車を充電した方が安く済む。再生可能エネルギーを利用すれば、電気自動車をより環境に優しいものにすることができる。
- リチウムイオン電池システムは、プラグイン・ハイブリッド車や電気自動車を駆動する。高エネルギー密度、急速充電能力、高放電電力により、リチウムイオン電池は、自動車の走行距離と充電時間に関するOEM要件を満たす唯一の利用可能な技術である。鉛ベースのトラクション・バッテリーは、比エネルギーが低く、重量が大きいため、フルハイブリッド電気自動車や電気自動車に使用するには競争力がない。
- この地域では自動車の販売が増加している。例えば、フィリピンの自動車販売台数は2020年以降20%増加している。2020年には223,793台であったのに対し、2021年には268,488台となっている。インドネシア、シンガポールなど他の地域でも販売台数が増加した。
- インドネシア政府は2021年、2025年までに電気自動車を国内生産台数の20%、約40万台にする目標を発表した。国内では自動車よりもバイクが好まれるため、政府は国内のバイク生産台数の20%をe-motorbikeにすることも目指している。
- さらに、電気自動車の普及を促進するため、インドネシア政府は電気自動車の販売ごとに5,000米ドル以上の補助金を支給する計画を発表した。この奨励金は、インドネシア国内に工場を持つ企業が生産する電気自動車の購入者に提供される。
- さらに2022年11月、フィリピン政府は電気自動車の輸入関税の引き下げを発表した。以前は輸入関税は5%から30%であったが、現在は0%に引き下げられた。この措置は、同国における電気自動車の普及を促進するために取られたものである。
- 従って、電気自動車の需要増加と政府の支援政策や金融優遇措置により、予測期間中、自動車セクターのリチウムイオン電池の需要は増加するだろう。

タイが市場を支配する見込み
- タイは自動車産業において莫大な投資の可能性を秘めている。同国はASEAN有数の自動車生産拠点である。過去50年間で、同国は自動車部品組立業者から、主要な自動車生産・輸出拠点へと成長した。
- 同国の自動車生産台数は、2020年と比較して2021年には18%以上増加した。2021年の自動車生産台数は、2020年の1427074台に対して168万5705台である。予測期間中も同様の成長率が見込まれる。
- さらに、同国はEVセグメント、特にプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)とハイブリッド電気自動車(HEV)で高い成長が見込まれている。例えば、2019年、タイ政府は、エコカー・メーカーがより多くのエコEV、特にハイブリッドEVを発売するようインセンティブを与えることに注力した。他のEVモデルと同様に、これらのエコEVにも物品税が減税され、小売価格がより手頃になる。これにより、リチウムイオン電池メーカーにとっては、今後数年間で大きなビジネスチャンスが生まれると期待されている。
- さらに、国家電気自動車政策委員会(NEVPC)のロードマップでは、タイは2022年まで年間6万~11万台のEVを追加するとしている。これは2025年までに10万~30万台、2026年までに40万~75万台に増加する。
- さらに、政府は「タイ4.0プログラムのもと、ビジネスモジュールを計画している。このプログラムは、クラウド・コンピューティング、インタラクティブ・メディア、ビッグデータ、モノのインターネットなどの新技術の増加を支援するものである。したがって、同国ではデータセンターの需要が高く、予測期間中にデータセンターの電池需要が増加すると予想される。
- したがって、上記の要因から、タイは予測期間中、東南アジア地域のリチウムイオン電池市場を支配すると予想される。
