マーケットトレンド の 東南アジアの農業用トラクター 産業
熟練農業労働者の不足が農業用トラクター市場を牽引
東南アジアでは、農業用トラクター市場は、農業に従事する人口の割合に連動する農業労働コストの影響を受ける。一般的に、発展途上国では農業に依存する人口の割合が高い。しかし、このような農業への依存度は低下しており、毎年都市部への移住が目立っている。例えばフィリピンでは、雇用全体に占める農業従事者の割合が、2020年の24.8%から2022年には23.1%に減少する。現在、フィリピンの農家の間では、農業生産システムに機械化技術を活用することの利点に対する認識が高まっている
農家は、農業機械化が手作業よりも費用対効果が高く、効率的な代替手段であると考え、農業機械化に目を向けている。農業労働力の減少、精密農業の台頭、トラクター技術の進歩により、各国は労働コストの低下を目の当たりにしている。さらに、インドネシアでは農業機械の輸入に対する免税措置などの政府の取り組みが、農業の機械化と近代化を積極的に促進している。こうした取り組みは、農家に新技術の導入を促し、農業の生産性を向上させ、市場をさらに押し上げることを目的としている

タイが市場を独占
タイの経済は農業部門に大きく依存しており、東南アジアの強国としての地位を確固たるものにしている。これを受けてタイ政府は、農業の近代化と機械化を目的とした「タイ20ヵ年戦略計画(2017-2036)や「スマートファーマーのためのタイ4.0など、一連の取り組みや政策を展開している。これらの取り組みは、農民の福祉を向上させ、農業をより有利なものにすることを目的としており、結果としてタイの農業機械市場を押し上げることになる
さらに、人口が急増し続けるなか、食糧安全保障に対する懸念も高まっている。農業では労働力が急速に減少しており、2021年の1,270万人から2022年には1,230万人に減少する。このような切迫感が、農業用トラクターに対する需要の高まりを後押ししており、その目的は、急増する食糧需要を満たすために生産量と1ヘクタール当たりの収量を高めることである。こうした動きを受けて、大手各社はタイ市場での足場を固めるべく新製品を発表している。例えば、マヒンドラは2024年にASEAN地域でデビューする予定で、湿地と乾地の両方の用途向けに設計されたマヒンドラ・オジャ・トラクターをタイで発表する
