マーケットトレンド の 南アジアおよび東南アジアの種子 産業
ハイブリッド種子の普及と政府の支援
ハイブリッド作物を栽培する意欲や関心は、調査対象となった多くの国々において、政府の法律や政策によって大きく左右される。パキスタンは、ハイブリッド作物および製品の生産国であると同時に輸入国でもある。パキスタンの種子部門は、種子改正法2015と植物育種家権利法2018という2つの重要な規制に依存している。2016年、パキスタン国民議会は、新しい植物品種の開発を奨励し、そのような品種の育種家の権利を保護するための植物育種家権利法を採択した。この法律は、新品種の保護を規定すると同時に、農家が農場で保存した種子を保存、使用、交換、販売する権利を尊重している。これにより農民は、工夫して生産された種子を使用するのと同時に、高品質のハイブリッド種子を入手することができる。ハイブリッド種子の輸入が増加しているのは、こうした措置の直接的な影響である。国会食糧安全保障・研究常任委員会は2019年、健康と環境の問題を理由にトウモロコシの遺伝子組み換え(GM)種子の輸入を禁止した。これは、収穫量を一定に保つために、これらの遺伝子組み換え種子に代わるものとしてハイブリッド種子を使用する原動力となるかもしれない
非遺伝子組み換え/ハイブリッド種子部門が市場を支配
南アジアおよび東南アジア地域では、食糧需要が近年急激に増加している。この需要に応えるため、安全基準を維持しながら作物の収量を増やすことが政府にとって必要となっている。フィリピンには国際稲研究所があり、増大する需要に対応するため、この地域でハイブリッド・ライス種子を最も多く使用している国のひとつである。インドでは緑の革命によってハイブリッド種子の使用が促進された。同国では人口が急速に増加しており、気候条件に適合した国産ハイブリッド種子の需要が高まっている。パキスタンに輸入されるハイブリッド種子は、国内で生産されるものより高価である。農民の所有地が限られているため、こうしたハイブリッド種子を購入する能力が低下している。政府が開始した農業革新プログラムにより、農家によるハイブリッド・トウモロコシ種子の導入が進むと期待されている。これにより、国内のハイブリッド種子生産がさらに増加することが期待される。南アジアや東南アジア地域では、有機製品に対する世界的な需要の高まりや、同地域での作物収量向上の必要性から、ハイブリッド種子の使用が年々増加している。この傾向が続くことで、同地域のハイブリッド非遺伝子組み換え種子市場が活性化すると予想される