マーケットトレンド の 固体電解質 産業
薄膜電池が著しい成長を遂げる
- 薄膜電池は全固体電池(ASSB)のひとつで、正極と負極の間でイオンを移動させるためにリチウムリンオキシナイトライド(LiPON)などのセラミック固体電解質を利用する。
- 正極材料はLiCoO2、LiMn2O4、LiFePO4などの酸化リチウムで作られることが多く、負極材料は一般的にグラファイト、Li金属、その他の金属材料で作られる。
- 薄膜電池の用途の大半は、現在の消費者向け製品や医療製品の改良に向けられている。薄膜電池は、電池の厚みが従来のリチウムイオン電池よりもはるかに小さいため、より薄い電子機器に使用される。
- 出荷や在庫管理におけるRFIDタグや、患者の不整脈を治療するための心臓ペースメーカーの使用が増加していることから、今後数年間は固体電池や固体電解質の使用率が高くなると思われる。
- 電池の世界需要は、2020年の185GWhから2030年には2,000GWhを超えると予想されている。2020年には家電製品が普及していたにもかかわらず、携帯電話などのガジェットのエネルギー容量は小さいため、ギガワット単位で見ると需要は比較的少なかった。この大幅な増加は主に輸送の電化によるもので、2030年には蓄電容量全体でバッテリー需要の大半を占めることになる。
- 2022年8月、コロラド州教育省は、電池の超高速充放電を可能にする可能性のある新しいナトリウムイオン系固体電解質組成物を特定した。NUSの研究者による画期的な発見を受け、電気自動車や携帯電話、その他多くの用途に利用される新しい充電式電池が一歩近づく可能性がある。
- 2021年11月、オランダ応用科学研究機構(TNO)からスピンオフしたオランダの新興企業LionVolt BVは、3D固体薄膜電池を開発するためにブラバント州の開発機関から400万ユーロを確保したと発表した。
- 上記の点と最近の開発により、薄膜電池は予測期間中、固体電解質市場を支配すると予想される。
アジア太平洋地域が市場を支配する可能性が高い
- アジア太平洋市場は主に18カ国で構成され、世界人口の59.76%を占めている。中国とインドがこの地域を支配しており、輸出入の評価額が最も高い。
- 貿易を除けば、この地域は46億人近い最も人口の多い地域である。中国とインドはこの地域で最も人口が多く、電気自動車の保有台数も多い。中国とインドの2021年の電気自動車保有台数は累計で120万台以上である。
- 貿易額が高いということは、RFIDの出荷台数が多く用途が多いことを示し、人口が多いということは、心臓病や心臓ペースメーカーの植え込みの可能性が高いことを示し、EV人口が多いということは、充電池の用途が多いことを示す。
- さらに、2022年8月にSVOLT Energy Technology Co.Ltd.(SVOLT)は、固体電池の開発を進めていると発表した。同社は、硫化物ベースの固体電解質を使用した20Ahセルの初期バッチを生産した。
- さらに2022年2月、テスラは中国国内および輸出市場での需要増に対応するため、中国に2つ目の電気自動車(EV)施設の建設を計画している。短期的には、テスラは中国での生産能力を少なくとも年間100万台まで引き上げる計画で、上海の臨港自由貿易区にある現在の生産拠点の近くに第2工場を計画している。
- このように、電気自動車用の固体電池の開発と人口の増加、そしてこの地域における貿易と心臓病患者の増加が、近い将来、固体電池と固体電解質市場を拡大する可能性が高い。