マーケットトレンド の ロボットエンドエフェクター 産業
ロボット導入の増加が市場成長を牽引
- 近年、自動化、IIoT、AI&MLなどの技術の進歩と商業化により、ロボットのユースケースが大幅に拡大したため、ロボット産業は需要が大幅に急増している。技術の進歩はロボット産業にも影響を与え、革新的で低コストのロボット開発に道を開いている。
- デジタル技術の浸透が進むことで、産業、商業、家庭のエンドユーザー垂直分野でのロボットへの投資がさらに促進される。さらに、「インダストリー4.0やスマートシティといった政府の支援的な規制や取り組みが、ロボット工学やエンドエフェクター市場の成長にとって有利な市場シナリオを生み出している。国際ロボット連盟(IFR)によると、産業用ロボットの年間導入台数は2015年の25万4,000台から、2024年には51万8,000台に達すると予想されている。こうした傾向は、ロボット用エンドエフェクターの需要にも同様に影響を与えそうだ。
- 産業用ロボットへの投資が増加していることは、2021年の産業用ロボットの出荷台数が世界全体で486,800台に達し、前年比で約27%増加したことからも明らかである。需要の牽引役となったのはアジア/オーストラリアで、次いで米州が27%増の4万9400台、欧州も15%増の7万8000台となった。
- 産業用ロボットの導入が進むにつれ、産業界ではロボットとその周辺環境の安全性が徐々に重要視されるようになっている。バッファロー大学では、このような新たなトレンドを製品開発戦略に取り入れながら、より優れた把持を実現し、人の周囲で作業するロボットの安全性向上に貢献する2本指のダイナミックグリッパーを開発した。ロボットハンドの設計により、衝突時の衝撃からエネルギーを吸収することができる。
アジア太平洋地域が最も高い成長を遂げる
- アジア太平洋地域では、近代化と工業化が急速に進み、ほとんどの生産産業が労働力削減のためにプロセスの自動化にシフトしている。さらに、協働ロボットはエレクトロニクス、自動車、その他の分野で生産性向上のために導入されている。
- 最新の産業革命であるインダストリー4.0は、協働ロボットのような新技術の開発を後押ししている。AI対応ロボットによって、企業はロボットを使用して効率を高め、エラーを排除し、多くのプロセスを合理化できるようになった。職場の安全性の向上と生産能力の強化が、産業界にロボットシステムへの投資を促している。
- 専門的なオートメーション分野で高い投資とイニシアチブを持つ国々の存在が、この地域でのロボット導入に役立っている。日本は、高度に発達したロボット分野と自動化技術により、生産工程におけるロボットと自動化の採用におけるリーダーの1つと見なすことができる。例えば、日本ロボット工業会(JARA)によると、2022年4月~6月のロボットの生産額は前年同期比5.7%増の2,217億円、出荷額は同5.2%増の2,198億円であった。
- アジア太平洋地域の様々な国々における政府による支援的な規制は、ロボット産業の成長をさらに促進している。例えば、2021年12月、中国工業情報化部はロボット工学5ヵ年計画を発表した。このプロジェクトは、2025年までにロボット産業の営業利益の年平均成長率が20%を超えることを目標としている。5カ年計画では、国内で増加するロボットをサポートするため、ロボットアプリケーションを拡大するビジョンを設定した。また、より安定したサプライチェーンを開発し、業界の標準化を進めることも目標としている。
- さらに、現在の市場シナリオでは、メーカーは、生産効率と品質のバランス、高齢化による産業労働力の減少、健康、安全への懸念など、多くの課題に直面している。しかし、COVID-19の発生は、この地域を技術導入のハイパードライブへと押し上げ、調査対象市場に大きな成長機会を生み出すと期待されている。