マーケットトレンド の フィトステロール 産業
心血管疾患の有病率の増加
- 植物ステロール市場の成長を促す主な要因の一つは、心血管疾患(CVD)による死亡者数の増加である。CVDは、心臓発作、脳卒中、その他の循環器系疾患など、世界中で早死にの主な原因となっている。
- 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、ヨーロッパでは年間67万人近く(全死亡の29%)がCVDで死亡している。英国だけでも700万人がCVDに罹患しており、Office of Health Improvement and Disparitiesのデータによると、毎年死亡の4分の1以上に寄与している。
- 心血管疾患(CVD)の罹患率が上昇しているため、製薬業界では、CVD予防効果があるとされる植物ステロールの利用が急増しています。食品医薬品局(FDA)や欧州連合(EU)などの規制機関は、植物ステロールの含有量を製品に表示し、心臓病を患う消費者のみの使用を意図していることを示すよう、メーカーに義務付けています。
- また、医療費が増加の一途をたどる中、予防医療への関心が高まっています。このため、消費者は健康情報を求め、植物ステロール栄養補助食品を購入する際には十分な情報を得た上で決断することで、自らの健康により大きな責任を持つようになっている。その結果、これらの製品の市場は大きな成長を遂げている。
市場の成長を支配するのはヨーロッパ
- 欧州は、植物由来の食品に対する需要の高まりによって大きな市場シェアを獲得し、世界の植物ステロール市場を支配する態勢を整えている。同地域では、植物由来の強化食品の需要も急増しており、これが植物ステロール市場の成長を後押ししている。欧州食品安全機関(EFSA)によると、1日当たり1.5g~2.4gの植物ステロールを摂取すると、血中コレステロール値を7%~10%低下させることができるという。
- 植物ステロールのコレステロール低下効果を利用するため、メーカー各社は植物ステロールを配合した製品を発売している。例えば、英国を拠点とするライシオ社は、ヨーグルトドリンク、バー、スプレッド、ソフトチューに植物ステロールを配合している。さらに、消費者の可処分所得の増加が、市場における植物ステロール食品の売上を牽引している。Elsevier B.V.に掲載されたヨーロッパ諸国における植物ステロール添加食品の消費者購買行動に関する調査によると、植物ステロール添加食品を購入する世帯の普及率が最も高いのはイギリス(12.1%)であることが明らかになった。
- その結果、植物ステロール食品の消費拡大が予測期間中の市場成長を促進すると予想される。