マーケットトレンド の パキスタン風力エネルギー 産業
技術の向上と豊富な天然資源が市場を牽引
- パキスタンでは過去10年の初めから風力発電の導入が急速に進んでいる。その主な理由は、政府による再生可能エネルギーミックスの義務化と、風力発電技術の向上による高効率化と低コスト化である
- 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、陸上風力エネルギーは、他の再生可能エネルギー源と比較して世界的に最も安価な発電源のひとつである。2020年、陸上風力エネルギーによる世界の平均発電コストは0.039米ドル/kWhだった
- パキスタンには、安定した適切な風速の回廊という形で、風力エネルギーを利用するための豊富な天然資源がある
- 例えば、シンド州のガロ-ジンピール風力回廊の面積は9700平方kmで、43000MWの風力発電の可能性がある。2022年1月現在、風力エネルギーを利用できる新たな回廊を特定するため、再生可能エネルギー・マッピング・プロジェクトの第2段階が進行中である
- さらに2022年3月、Din Energy Pvt. Limitedがジンピール風力発電所の商業運転を開始した。この発電所の発電能力は50MWで、プロジェクトの総費用は6,500万米ドルだった
- このように、風力発電のコスト削減と効率化につながる技術の向上、そして重要な天然資源が存在し、さらに発見が進んでいることが、予測期間中の市場を牽引すると思われる
今後のプロジェクトと政府政策が市場を牽引
- パキスタンには再生可能エネルギーの潜在的資源が豊富にあるが、これまでのところ、大規模な水力発電プロジェクトを除き、この潜在的資源は十分に活用されていない
- 再生可能エネルギーの潜在力を活用するため、パキスタン政府は2020年8月に「代替・再生可能エネルギー政策2019を正式に承認した。この政策は、再生可能エネルギーによる発電の割合を、2020年の約5%から2025年までに20%、2030年までにさらに30%まで引き上げることを目標としている
- 2022年3月、パキスタン政府は、より多くの施設と税制優遇措置で外国人投資家を奨励するために、パキスタン・オーストリア投資家会議で、とりわけエネルギー分野における潜在的な投資機会を紹介した。同国は風力エネルギーを利用するのに有利な地理的条件を享受しているため、エネルギー分野での機会には風力エネルギーも含まれる
- さらに、2022年現在、パキスタンで稼働中の風力発電プロジェクトは26件(累積容量1335MW)で、国の送電網に接続されており、さらに10件(容量510MW)の風力発電プロジェクトが建設中である
- 以上のことから、予測期間中、政府の新政策と今後のプロジェクトが同国の風力エネルギー市場を牽引していくと思われる