マーケットトレンド の 東南アジアの旅行と観光における機会 産業
ASEAN地域で増加する中国人観光客
過去15年間に中国人観光客の数が急増しているのには、いくつかの理由がある。 中国は世界で最も人口の多い国で、14億1000万人の人口を抱え、世界人口の約5分の1を占めている。 世界銀行によると、2017年の1人当たりGDPが8827米ドルだった中国は、4億3000万人の強力な中産階級を抱え、14億1000万人の人口の60%が都市部に住んでいる。個人所得の絶え間ない増加により、中産階級の人々の多くは観光やショッピングに特別な情熱を抱いている。インターネットやオンライン技術によって、飛行機やクルーズのチケット、ホテルの宿泊予約が簡単にできるようになった。多くの国々が中国人観光客に対するビザ要件を緩和し、ビザ・オン・アライバルも含めて、中国人の海外旅行を促している。手ごろな価格の航空券と乗り継ぎが海外旅行を容易にした。話題となった「ゼロ・ドルツアーを含め、効率的で専門性の高い団体旅行を企画する中国の旅行会社の創造性。これらすべての要因、特に所得の上昇が、中国のアウトバウンド・ツーリズム部門に空前のブームをもたらした
東南アジアでは、中国人観光客の急増により、ASEANの全加盟国が観光ブームに沸いている。その理由は2つあり、1つ目は、これまで見てきたように、同時期に巨大な中産階級を擁する第2位の経済大国として台頭した中国と、ASEAN域内観光で外国人観光客の40%以上を占めるASEANの両方における所得の上昇である。もうひとつは、格安航空会社の急増により、航空券の値段が手頃になったことだ。中国人観光客は、中国にとって便利な位置にある東南アジア諸国に集まっている。例えば、タイは過去3年間、中国から年間1000万人以上の観光客を受け入れている。2017年にはタイの外国人観光客3,538万人のほぼ3分の1が中国からの観光客だった。この傾向は他のASEAN諸国にも見られ、ASEAN観光セクターの原動力となっている