マーケットトレンド の 核ミサイルと核爆弾 産業
国防予算の増加が市場を牽引
米国、英国、中国、インドといった軍事大国は、他国からの脅威の高まりを受け、軍事火力と防衛力の増強に注力している。領有権の不確実性や、世界的な支配を目指す国々の動きが活発化していることも、地政学的な情勢を乱している大きな要因のひとつだ。このような脅威に対抗するために各国政府がとる最も一般的な反応は、自国の安全保障状況を改善するために軍事費を増大させることである。SIPRIによると、2019年の世界の軍事支出は1917億米ドルに達し、2018年から3.6%増加し、2010年以降で最大の年間支出増となった。米国、中国、インド、ロシア、サウジアラビアが2019年の5大支出国であった。国防予算の増加は、各国の戦闘能力を強化し、防衛戦略を計画通りに実行することを支援する。核兵器は世界のすべての核保有国の防衛戦略において主要な役割を担っているため、国防予算では核兵器や核弾頭を運搬できるミサイルの開発に一定額が割り当てられている。したがって、国防予算の増加は、予測期間中の市場の成長を促進する
2019年、核ミサイル部門が最大の市場シェアを占める
タイプ別では、核ミサイルセグメントが2019年に最大の市場シェアを占めた。このセグメントのシェアが高い主な理由は、重力爆弾と比較して提供される利点である。核ミサイルは作動範囲が広く、数千マイルに及ぶが、重力爆弾の場合はそうではない。また、核ミサイルは遠隔操作が可能であるため、発射する人が爆発後に物理的・放射線的影響を受けることはない。これは、パイロットが爆弾のすぐ近くにいることになる重力爆弾ではありえないことである。重力爆弾をUAVで投下する場合、UAVは現代の防空網を突破し、核重力爆弾を敵地に投下できるだけの生存能力がなければならない。このような利点から、現在、核ミサイルの開発・調達が盛んである。いくつかの国が新たな核ミサイルを開発しており、また他の国も今後数年のうちに新たな核ミサイルの製造を計画している。例えば、米国は新たな核武装潜水艦発射巡航ミサイルの開発を計画しており、約7~10年後の配備を目指している。こうした開発は、予測期間中、核ミサイルの市場見通しを強化するものと思われる