マーケットトレンド の 北米オリーブ 産業
食生活革命によるオリーブオイル需要の急増
北米では近年、オリーブオイルの需要が大幅に増加しているが、その主な理由は、不飽和脂肪酸が健康に良いということが広く知られるようになったためである。オリーブオイルの利点としては、ビタミンEやビタミンKなどの抗酸化物質を多く含むこと、心臓血管系疾患の予防に役立つ一価不飽和脂肪酸であることなどが挙げられる。消費者の健康志向の高まりと健康的な食生活のトレンドにより、大豆油やひまわり油などの伝統的な油に代わって、オリーブ油が好まれるようになった。オリーブオイルを多用する地中海料理の人気も、北米市場での需要増加に寄与している。さらに、オーガニックや自然食品に対する需要の高まりも、オリーブ市場の成長に影響を与えている
北米オリーブオイル協会(NAOOA)によると、2022年から2023年にかけて、米国におけるオーガニックオリーブオイルの売上高は、2020年から2021年に比べて10%増加した。オリーブオイルの需要はオリーブの需要と正の相関関係にあるため、世界的なオリーブオイルの需要がオリーブの増産の必要性に拍車をかけている。米国におけるオリーブオイルの消費量は、2019年には406千トンであったが、オリーブオイルの消費量が搾りかすからピュア、エクストラライト、バージンのカテゴリーにシフトしたことにより、2022年には423千トンに増加した
さらに、オリーブオイルはメキシコ料理で重要な位置を占め、同国の活気ある食文化に独特のひねりを加えている。メキシコ中部では、伝統的な肉料理にオリーブオイルが使われることが多くなり、グリルした肉に塗ったり、シチューの仕上げに加えたりしている。独特の料理で知られるユカタン半島では、豚肉のグリル料理「ポックチュックなど、オリーブオイルを使った料理が名物となっている。さらに、インフューズド・オリーブオイルを使うというトレンドは、メキシコ料理の味の幅を広げている。コリアンダーやエパゾーテを加えたオイルは、グリルした肉やローストした野菜の味を格上げする。これらのインフューズド・オイルは、パンのディップ用としても人気が出てきており、メキシコの食卓に浸透しつつある。このように、オリーブオイルの消費傾向の高まりは、オリーブ生産の成長の触媒として作用し、北米オリーブ市場を牽引すると予想される
オリーブ生産で大きなシェアを占める米国
米国のオリーブ生産は、主にオリーブ栽培に理想的な地中海性気候の地域に集中している。カリフォルニア州は、全米のオリーブ生産量の95%以上を占める、オリーブの一大産地である。セントラル・ヴァレー、特にフレズノ郡、チューレア郡、マデラ郡は、広大なオリーブ園で知られている。さらに、テキサス州、ジョージア州、アリゾナ州、フロリダ州の産地もオリーブの生産に貢献している
国連食糧農業機関によると、2020年の米国のオリーブオイル生産量は61,420トンで、2022年には63,230トンに増加する。米国の恵まれた気候条件が、オリーブの主要生産国のひとつとなった。米国ではミッション種のオリーブが主流だが、最も人気のあるイタリア、スペイン、ギリシャの品種も広く栽培されている。アルベキーナ、アルボサナ、コラティーナ、フラントイオ、コロネイキ、レッチーノ、ピクアルなどが広く栽培されているオリーブの品種である
各政府や協会は、オリーブ生産者が苦境に陥った際、変動費をカバーすることで生産レベルを安定させるため、タイムリーな税還付や補助金など、いくつかの支援政策やプログラムを開始している。例えば、米国農務省(USDA)の農業マーケティング・サービス(AMS)は、カリフォルニア産オリーブの連邦マーケティング・オーダーを提供している。これらの注文は品質と販売方法を標準化し、一貫性を確保してオリーブ産業の商業的成功を後押ししている。地元ではカリフォルニア・オリーブ委員会(California Olive Committee)によって管理され、これらの注文は全国で1,000近い家族経営の農園に恩恵をもたらしている。従って、政府の支援政策やイニシアチブの高まりは、予測期間中、米国でのオリーブ生産を後押しすると予測される