マーケットトレンド の 北米農薬包装 産業
肥料が主要市場シェアを占める
- 肥料、殺虫剤、除草剤などの農薬に関しては、北米市場は大きな成熟期を迎えており、需要はここ数年安定した水準を維持している。今後数年間も同様であると予想される。
- 北米は肥料の最も成熟した市場のひとつであり、ここ数年は成長率が鈍化している。IFAによると、米国における窒素肥料施用は、アンモニア、尿素、UANが大きなシェアを占めており、その合計シェアは60%を超えている。
- 作物別では、トウモロコシと小麦が同国の窒素肥料需要の半分近くを占めている。したがって、この地域で窒素肥料を提供している業者は肥料市場で大きなシェアを占めており、パッケージング・ソリューションの需要を牽引している。
- 米国では、ルイジアナ州、オクラホマ州、テキサス州の大規模な天然ガス埋蔵地の近くで、水素原料として、またアンモニア生産に必要な高温高圧の燃料として天然ガスを使用するため、アンモニア生産の大半が行われている。アンモニアの大部分は国際企業によって生産され、トリニダード・トバゴとカナダからの輸入もあるが、国内消費に使用される。この地域で生産されたアンモニアの輸出量はごくわずかである。
- この地域の最大のアンモニア生産者は、Nutrien、CF Industries、Moasaic、Yaraである。窒素肥料生産施設は毎日操業しているが、貯蔵能力には限りがあるため、肥料は倉庫やターミナルに輸送して貯蔵しなければならない。アンモニアの輸送に使われる輸送手段には、冷凍バージ、鉄道車両、パイプライン、タンクローリーなどがある。
- この地域は世界の肥料部門で大きなシェアを占めているため、米国とカナダにおける包装に対するメーカーの需要は大きい。さらに、この地域のベンダーは、肥料用の簡単で持続可能なパッケージングソリューションを目撃している。例えば、2021年4月、Johnny Appleseed Organic社は、持続可能なコットンバッグ入りの庭用無殺生肥料ClimateGardを発表した。
プラスチックが最大の市場シェアを占める
- 米国やカナダといった北米地域の国々は、世界でも有数のプラスチック樹脂メーカーである。米国化学工業協会のプラスチック産業生産者統計(PIPS)グループによると、北米の樹脂生産量は2020年の1,231億ポンドから0.7%増の1,240億ポンドに増加した。米国化学工業協会によると、2020年の生産量ではポリエチレン(PE)が最大のシェアを占め、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)がこれに続く。
- ポリエチレン(PE)は普遍的な用途を持つため、最も好まれる素材のひとつである。熱可塑性であるため理想的な密封媒体であり、優れた水分バリアを形成する。特に湿度の高い気候では、農薬製剤の保存が主な要件となる。
- 高密度ポリエチレン(HDPE)のブロー成形容器は、設計や構造に幅広い柔軟性があり、優れた水分バリア性を持ち、炭化水素系溶剤に対する耐性は低い。また、二軸延伸ポリエステルは、溶剤や水性ベースの液体製品の包装に広く使用されている。
- 60以上の主要ブランド、非営利団体、政府機関が、米国におけるプラスチックの循環型経済を構築するために協力している。こうした活動は、この地域の農薬製品への使い捨てプラスチックの使用を減らす態勢を整えている。
- さらに、主要都市は農薬用プラスチック包装ソリューションの使用を減らすための是正措置を講じている。例えば2021年8月、モントリオールは2023年3月までに多くの使い捨てプラスチックを禁止する計画を立てた。