マーケットトレンド の 海軍船舶の保守、修理、およびオーバーホール (MRO) 産業
駆逐艦が2021年の売上高で主要シェアを占める
駆逐艦は、高速で機動性に優れ、長い耐久力を持つ軍艦であり、艦隊内の大型艦を護衛・支援し、小型で強力な短距離水上戦闘艦の攻撃から艦隊を守る。現在の世界の駆逐艦の数は約250隻。米国、中国、日本といった国々が、現存する駆逐艦の中で最も高いシェアを占めている。駆逐艦の調達・運用コストはかなり高価であるため、世界的に駆逐艦を運用しているのは一部の海軍に限られている。駆逐艦の世界的な保有年数の増加に伴い、世界各国は先進的な装備と就役中の保守・オーバーホール計画によって艦隊の近代化に投資している。また、新型駆逐艦に最新の兵器システムを装備する必要性が高まっていることも、駆逐艦近代化プログラムの必要性を後押ししている。例えば、2021年7月、MBDA UKは、しばしばシーセプターと呼ばれる共通対空モジュラーミサイルを英国海軍の45型駆逐艦のシーバイパー兵器システムに統合する11年間の契約を獲得した。この仕事には、シーバイパーの指揮統制(C2)システムのアップグレードも含まれる。CAMMを45型駆逐艦に搭載することで、駆逐艦の防空ミサイル数は50%増加する。最初の45型駆逐艦は2026年夏までにオーバーホールされる予定だ。また、2021年の時点で、フランスとイタリアの海軍は、就役から10年以上が経過したホライズン級航空戦駆逐艦の中期のアップグレードを計画していた。2020年、ナビリスはOCCAR(軍備共同協力機構)を通じて契約したナバル・グループに、アップグレードのためのフィージビリティ・スタディを実施する契約を提供した。各国はまた、数十年前の艦船をより新しいシステムでアップグレードし、耐用年数を延ばすことで、既存の駆逐艦艦隊を維持するための投資も行っている。2021年、米国は既存のDDG-51アーレイ・バーク級フライトIIA駆逐艦のセンサー、電子機器、兵器のアップグレードを開始した。このような開発は、予測期間中、このセグメントの成長を促進すると予想される
2021年の市場シェアはアジア太平洋地域がトップ
現在、アジア太平洋地域が市場を支配しており、予測期間中もその支配は続くと予想される。中国、インド、日本などの国々は、この地域で地政学的緊張が続いているため、海軍力強化への投資を増やしている。中国は世界最大の海軍の1つであり、335隻の海軍艦艇(2019年)を保有し、艦隊の大半が13年以上である2005年よりも約55%増加している。同様に、他の国々(インドや日本など)も老朽化した艦艇を運用している。このため、各国は艦艇に先進技術(改造)を組み込むことで艦艇の近代化を進めている。この点に関して、オーストラリア政府は、海軍力強化のために今後10年間で750億米ドルを投資すると発表した。投資総額のうち、約3分の1は艦艇の改良と維持に充てられる。この投資のもと、同国はホバート級駆逐艦、ANZAC級フリゲート、海軍の水陸両用艦艇を改良し、現在就役中のコリンズ級潜水艦(平均艦齢20年以上)の改良と延命に投資する計画だ。艦艇の近代化に向けた同様の投資は、今後数年間、この地域における艦艇MROの需要を加速させると予想される