マーケットトレンド の 中東の軍用車両 産業
海軍艦艇の近代化への注目の高まり
中東地域の国々は数十年にわたり、近代化された装甲車両艦隊を維持することに重点を置いてきた。しかし、現代戦争の性質の変化に伴い、各国は過去10年間で艦艇調達への支出を増やし、新世代の海軍戦闘艦艇を発注している。例えば、2019年6月、アラブ首長国連邦はフランスのナバル・グループに2隻のゴーウィンド・コルベットを8億5000万米ドルで発注した。1隻目は2021年12月に引き渡され、2隻目の艦艇は2022年までに進水する予定だ。また近年、中東諸国も軍用車両の海外メーカーへの過度な依存を自覚しており、その結果、同盟国との提携を通じて軍用車両の独自開発に投資する国は少なくなっている。その点、トルコは2019年10月、2040年までに6隻の潜水艦を開発・建造する国産潜水艦プロジェクト「MiLDENを発表した。トルコの最初の潜水艦はドイツのものをベースに設計され、静粛な巡航能力、誘導ミサイル、先進的な重魚雷を特徴としている。潜水艦の建造は、AselsanやHavelsanなどを含む国産建造コンソーシアムが請け負う見通しだ。このような開発と調達計画は、予測期間中の艦艇セグメントの成長を促進すると予想される
サウジアラビアが2020年の主要シェア(売上高ベース)を占める
2021年、中東の軍用車両市場ではサウジアラビアが大きな市場シェアを占めた。過去5年間、同国はエネルギー価格の下落による圧力低下や教育部門への重点化などの要因により、軍事費を着実に削減してきた。しかし、国家安全保障に対する懸念の高まりから、同国は軍隊の近代化に積極的に投資している。軽装甲車(ゼネラル・ダイナミクス・ランド・システムズ社製)、VAB Mk3 6x6 APC、SHERPA軽戦術車(ルノー・トラック・ディフェンス社製)などを受け入れている。サウジアラビアはまた、10年以上にわたって計画されている近代化プログラム「サウジ海軍拡張プログラムIIのもと、海軍艦隊の近代化も進めている。同国政府は、新造艦(老朽化した東部海軍艦隊を置き換える可能性がある)に約200億米ドル、ロッキード・マーチン社製のフリゲート艦プログラムに約60億米ドルを投資する計画である。この構想の下、同国はマルチミッション水上戦闘艦(MMSC)を発注した。2019年12月、ロッキード・マーチンは同国のために4隻のMMSCを設計・建造する19億6000万米ドルの対外軍事売買契約を獲得した。艦艇の引き渡しは2023年までに開始される予定だ。サウジアラビアは航空戦闘・支援能力も強化している。2021年3月、サウジアラビアはロッキード・マーティン社とUH-60Mブラックホークヘリコプターについて1億5,000万米ドル以上の2つの契約を締結した。1つの契約では、同社は同国からヘリコプター4機を受注し、2022年6月に引き渡される予定だ(2017年に締結された前契約の契約変更)。もう1つの契約では、サウジアラビア国家警備隊(SANG)向けに25機の改良型UH-60Mヘリコプターの納入を受注した。この契約は2024年10月までの納入が予定されている。こうした調達計画は、サウジアラビアの軍用車両市場の成長を加速させる可能性が高い