の市場トレンド 中東の飼料添加物市場
一人当たりの鶏肉消費量の増加とともに新たな農場が設立され、中東地域における鶏肉セクターの拡大が、鶏肉生産への需要を高めている。
- 中東では、養鶏産業が農業セクターの最大セグメントであり、2022年には同地域の家畜頭数の90%を占める。同産業は著しい成長を遂げ、2022年の生産量は2017年比で10.9%増加した。同地域における肉・卵製品の需要増加が、この成長の主な原動力となった。観光、ビジネス旅行、ホテル・レストラン・施設(HRI)部門からの需要も、2022年の鶏肉生産量の前年比2.5%増に寄与した。この生産量の増加は、家禽生産に使用される飼料添加物の金額も2.9%上昇させた。
- 中東諸国は、拡大する需要に対応するため、生産拡大のための養鶏部門への投資を進めている。例えば、サウジアラビアのAlmarai社は、11億2,000万米ドルを投資して工場と新しい農場を設立し、鶏肉生産を拡大しようとしている。2022年、サウジアラビアの環境・水・農業省は275件の家禽プロジェクトライセンスを発行した。その内訳は、ブロイラー・プロジェクトが119件、年間20億卵以上の生産能力を持つ卵生産が26件、ブロイラー母鶏の繁殖・生産と年間4億8,850万羽の生産能力を持つ孵化場の運営が12件である。
- 同地域の鶏肉製品の一人当たり消費量も、2017年の44.9kgから2022年には45.5kgへと増加しており、増産需要をさらに押し上げている。その結果、養鶏産業への投資の増加や鶏肉製品の需要拡大といった要因が、予測期間中も家禽動物生産の成長を促進すると予想される。
サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦などの政府は、大規模養殖場の設立に投資しており、この地域における養殖用飼料の需要を増加させるだろう。
- 中東の養殖産業は近年著しい成長を遂げており、養殖用飼料の需要増につながっている。2017年から2022年にかけて、養殖用飼料の需要は25.1%増加した。この成長は、この地域における養殖産業の拡大によるもので、養殖種の生産が増加した。2022年には、養殖用飼料の生産量はこの地域の飼料生産量全体の2.1%を占め、合計0.5百万トンとなる。イランはこの地域で最大の養殖飼料生産国で、2022年の生産量は0.28万トンであった。この高い生産量は、同国の強力な養殖生産によるもので、さまざまな種類の養殖種を養殖するための淡水資源の利用可能性から恩恵を受けている。
- 魚類はこの地域で生産される最大の養殖種であり、養殖飼料生産の78.6%を占めている。サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦などの国々は、養殖に投資し、国際的な専門家や組織と提携して、生産性の高い地元養殖場を設立している。例えば、湾岸地域の水産養殖団体は、英国湾岸海洋環境パートナーシップ(GMEP)プログラムを通じて、英国政府の環境漁業・水産養殖科学センター(Cefas)と協力し、養殖業の改善と生物多様性の損失に取り組んでいる。
- オマーンとアラブ首長国連邦は、この地域で養殖魚種の一人当たり消費量が最も多く、その消費量は一人当たり年間28.6kgに達する。輸出を減らし国内生産を増やすため、オマーン政府は、漁業・養殖業を補助金部門から同国経済に大きく貢献する部門へと転換することを目指している。
本レポートで取り上げているその他の主要業界動向
- 羊肉消費量の増加と乳製品需要の増加により、1,000を超える菓子・チョコレート製造施設が反芻動物の生産需要を伸ばしている。
- 家禽類の人気の高まりとサウジアラビア政府による家禽生産拡大のための投資が、この地域の家禽生産を牽引している。
- アフリカ豚コレラ熱(ASF)は養豚飼料生産に影響を与えたが、キプロスやイスラエルといった国々での豚肉需要の増加が養豚飼料生産の需要を牽引している。
- 観光客の増加により、ホテルやレストランからの豚肉需要が増加し、養豚需要が増加している。
- 牛肉消費量の増加と乳製品需要の増加が反芻動物用飼料生産の需要を牽引している。