マーケットトレンド の 中東・アフリカ航空機エンジン 産業
予測期間中、最も高い成長率を示す軍用機セグメント
同地域におけるテロリズムと政情不安の高まりが、戦闘機の開発と取得への投資を促進している。さらに、同地域では毎年さまざまな軍用機の取得が行われており、このセグメントの需要を牽引している。例えば、2023年7月、イスラエルはロッキード・マーチン社のF-35ステルス戦闘機(30億米ドル相当)の購入を承認した。ロッキード・マーティンが25機を追加納入することで、イスラエル空軍のF-35は75機になる見込みだ。トルコは戦闘機のエンジン開発でも大きな進歩を遂げている。2020年1月、トルコは2029年までに国産エンジンを使用したTF-X国産戦闘機(MMU)の初飛行を行うと発表した。同エンジンは2026年までに試験を完了する予定だ。これに関連して、トルコ政府は2022年6月、TF-X航空機の動力源となるターボファンエンジンの国産開発に関する提案依頼書を正式に発表した
さらに、軍用グレードのエンジン部品を開発するための国際協力も増加している。例えば、2022年7月、SAMI Composites LLCはロッキード・マーチンと、リヤドにコンポジット製造センター・オブ・エクセレンスを開発する契約を締結した。この新しい複合材料製造センターは、サウジアラビアが将来的に最先端のソリューションを製造するための航空宇宙製造能力を構築するのに役立つと期待されている。全体として、前述の要因や事例が、この地域における軍用機エンジンの開発・調達の成長を後押ししている
予測期間中、アラブ首長国連邦が最も高い成長率を示す
アラブ首長国連邦は、この地域の民間航空、一般航空、軍用航空分野の主要なプレーヤーとして台頭してきている。アラブ首長国連邦は、観光とビジネスの主要拠点となりつつあり、航空旅客輸送量の増加につながっている。高まる需要に応えるため、エミレーツ航空、エア・アラビアなどの国営航空会社は、新しい航空機を調達し、既存の機材をアップグレードしている。2023年11月、エミレーツ航空はB777-9型機55機とB777-8型機35機の追加契約をボーイングに発注し、同航空のB777X型ワイドボディ機の総受注数は205機に達した。また、ボーイングB787ドリームライナーの発注機数を30機から35機に増やし、その内訳はB787-10が15機、B787-8が20機となっている
同様に、ヘリコプターの需要も全国的に急増している。2023年11月、UAEはVRT軽ヘリコプターの国産化計画を発表した。同国は戦略開発基金(SDF)を通じてVRT500とVRT300の同軸軽ヘリコプターを開発する計画である。さらに2023年3月、レオナルドはアブダビ航空(ADA)からAW139中級双発ヘリコプター6機の納入契約をHeli-Expo 2023で受注した。この航空機は、海上輸送任務用に2024年から2026年にかけて納入される予定である。このように、航空機納入の増加は新型エンジンへの需要を生み出し、今後数年間の市場成長を牽引するだろう