マーケットトレンド の マレーシアの石油とガス 産業
中流部門が大きな市場シェアを占めると予想される
- マレーシアでは、国内および近隣地域で天然ガスの需要が増加している。ほとんどの国は、環境の大気質をコントロールするために二酸化炭素の排出を削減したいと考えており、その結果、様々なエンドユーザー分野で天然ガスの消費が増加している。
- サトゥ・マレーシア・ターミナルはマレーシアのサラワク州にあるLNGターミナルである。3つのLNGトレインを有し、年間810万トン(MTPA)の生産能力を持つ。ペトロナス・ビントゥルLNGコンプレックスとしても知られるマレーシアLNGコンプレックスの一部である。
- 2022年現在、マレーシアの天然ガス輸入量は日量約38億立方メートル。2022年の輸入量は2021年に比べて増加した。
- 例えば、2022年1月、マレーシアのサバ州とペトロナスは、200万トン/年(mmty)の液化天然ガス(LNG)ターミナルの計画を発表した。シピタン石油・ガス工業団地に計画されているこの新施設は、サバ州における産業・商業ビジネスへのクリーン・エネルギーの流通を拡大するための、ペトロナスと同州との協力関係の一環である。
- さらに2021年8月には、インド石油公社(IOC)がマレーシアの国営ペトロナスとの合弁事業に参入し、液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設、燃料小売、ガス配給などを行い、同分野の成長を牽引している。
石油精製製品の需要急増が市場の成長を後押し
- マレーシアの精製部門は、化学、石油化学、運輸産業からの精製製品需要の増加により、著しい成長を遂げている。
- マレーシアは東南アジア第2位の石油・天然ガス生産国であり、2021年時点では世界第5位の液化天然ガス(LNG)輸出国である。マレーシアは、海上エネルギー貿易に不可欠なルート上に戦略的に位置している。
- マレーシアではここ数年、製造された石油精製品の販売量が着実に伸びている。石油精製品の増加は主に、家庭での調理用燃料として、特に輸送用燃料としてLPGの需要が伸びていることに起因している。
- マレーシア統計局によると、2021年、マレーシアは約270万トンの液化石油ガス(LPG)を生産した。同国のLPG生産量は2013年以降増加傾向にあり、253万トンが生産された。
- マレーシアは過去20年間、国内供給で石油製品の需要を満たすため、精製活動に多額の投資を行ってきた。2022年現在、マレーシアは国内に広がる7つの施設で日量約95万5,000バレル(b/d)の精製能力を有している。
- 精製された石油製品の国内需要を満たすための石油精製・貯蔵ハブを建設するというマレーシアの目標の一環として、ペトロナスはジョホール州の精製・石油化学統合開発プロジェクト(RAPID)に約160億米ドルを投資した。同時に、関連施設にも110億米ドル近くを投資している。このプロジェクトの名目処理能力は279,000b/dで、2022年末までにフル稼働する予定である。RAPID施設は、二酸化炭素排出レベルを下げるユーロV基準を満たすディーゼルおよびガソリンを生産する国内初の製油所となる。
- しかし、石油製品に対する需要の高まりと、その需要に応えるための自給自足に重点を置くマレーシアの姿勢により、同地域の川下インフラは今後数年間で大幅に増加すると予想される。同国は、現在の製油所を拡張するか、新たな製油所を建設する計画を策定している。
- 従って、上記の要因から、石油製品需要の拡大が予測期間中のマレーシア石油・ガス市場を牽引すると予想される。