マーケットトレンド の 液状合成ゴム 産業
タイヤ部門からの需要増加
- 液状合成ゴムは、タイヤの表示規制の採用とともに、耐久性の向上と優れた性能を提供するため、タイヤの製造に幅広く使用されている。
- タイヤの製造に使われる主な製品はポリブタジエンである。走行中の連続的な屈曲による疲労を改善するため、主にタイヤのサイドウォールとして使用される。そのほか、ブタジエンは他の自動車部品にもさまざまな用途がある。
- 米国タイヤ工業会によると、乗用車と小型トラックに使用されるタイヤの合成ゴムの体積比は24%、大型トラックに使用されるタイヤの合成ゴムの体積比は11%である。さらに、乗用車用タイヤの約50%は、天然ゴムと混合したスチレンブタジエンゴムでできている。
- 国際タイヤ・ゴム協会(ITRA)によると、中国と米国は世界2大タイヤ生産国である。中国税関総署のデータによると、2022年上半期に中国から輸出されたゴムタイヤは累計377万トンで、前年同期比7.2%増だった。
- また、米国タイヤ工業会によると、乗用車や小型トラックに使用されるタイヤは合成ゴム(SBRなど)が24%、大型トラックは合成ゴムが11%使用されているという。
- 国際自動車製造者機構(OICA)によると、2022年には世界中で約8,501万台の自動車が生産され、2021年の8,020万5,000台と比較して5.99%の成長率を示しており、自動車産業からのタイヤ需要の増加を示している。2022年には、世界中で約6,000万台の乗用車が生産され、2021年と比較して7.35%近く増加した。
- しかし、アジアや欧州のいくつかの国では、補修用とOEM(相手先ブランドによる生産)両方の需要が減少しているため、タイヤの生産量は徐々にではあるが一貫して減少している。例えば、ATMAが発表したデータによると、2021-2022年度のインドのタイヤ総生産量は前年度比4%減の1億6,907万本であった。
- 全体として、上記のすべての要因がタイヤ生産に影響を及ぼしており、これがさらに液体合成ゴム市場に影響を及ぼすと予想される。
アジア太平洋地域が市場を支配する
- 予測期間中、アジア太平洋地域が液体合成ゴム市場を支配すると予想されている。中国、インド、日本などの国々では、タイヤ製造、工業用ゴム製造、接着剤、シーラント、コーティング、ポリマー改質などの用途からの需要が増加しているためである。
- 中国は最大の自動車生産国であり消費国でもある。中国自動車工業会の報告によると、2022年の中国の自動車販売台数は前年比約2.1%増となった。2021年の自動車販売台数が2,627万台だったのに対し、2022年には約2,686万台が販売された。
- 液状合成ゴムは建設業界にも応用されている。国家発展改革委員会によると、中国政府は推定投資額約1420億米ドルの26のインフラ・プロジェクトを承認し、2023年末までの完成と現在進行中と推定されている。高層ビルやホテルの建設が増加していることが、市場調査を後押ししている。
- 2022年現在、インドは世界第4位のゴム消費国である。インドの国民一人当たりのゴム使用量は現在1.2kgで、世界全体では3.2kgである。インドのゴム産業は約12,000クローネ(1,447百万米ドル)を生み出している。タイヤ部門はインドのゴム生産の大部分を消費しており、国全体の生産高の半分以上を占めている。
- インドのゴム産業は、ゴム生産部門と急成長するゴム製品製造・消費部門が共存している。同国のゴム産業を牽引している要因には、自給自足と輸入代替を目指す制度機関の積極的な介入がある。
- 同地域ではタイヤ、工業用ゴム、接着剤、シーラントなどの需要が増え続けており、業界の大手数社が生産工場を拡張していることから、液状合成ゴム市場も予測期間中に安定した成長が見込まれている。