マーケットトレンド の 日本オフィス不動産 産業
新興企業の増加が市場を牽引
コビド後の世界では、デジタルの利用が拡大し、eコマースが活況を呈しているため、フィンテックや物流企業がオフィススペースの必要性を牽引すると考えられている。日本はスタートアップ企業の育成で世界に大きく遅れをとっている。2021年現在、日本にはユニコーンが6社しかない。これはインドの41社や韓国の11社よりもさらに少ない。国内外を問わず、大量のVC資本が日本のスタートアップ環境を支えている。2021年、日本のスタートアップは合計63億米ドルを調達したが、2022年のデータも同様の傾向を反映しており、2022年上半期には33.9億米ドルを調達している。全部で約300社のVCが日本の大手新興企業に投資している。日本政府もまた、起業家にとって競争的で健全な環境を構築するための日本の取り組みに幅広く関与している
2021年、SmartNews, Inc.は、総額2億2,878万米ドルを調達し、資金調達額で日本の主要新興企業リストのトップに立った。モビリティ・テクノロジーズ株式会社は、総額1億5,993万米ドルの投資で2位となった。政府は2022年、大企業が後に起業する予定の人材を雇用する際や、大企業から人材を借りることを希望する新興企業に対して、財政支援を行う枠組みを導入する予定である
東京のオフィス需要はハイブリッド・モデルにシフトし、市場を押し上げる
東京都心5区のAグレード賃貸オフィスは、2012年以降8年間成長を続けてきたが、2020年から下降局面に入った。非常事態宣言や政府による在宅勤務(WFH)の呼びかけといった前例のない措置により、勤務形態の劇的な変化が東京のオフィス需要に打撃を与えている。感染率の高い欧米に本社を置く企業は、日本のオフィスにおける従業員の安全を最優先事項としている。オフィス面積が縮小した結果、数多くの海外企業が移転している
国内企業の本社が大手町と丸の内に集中しているため、賃貸水準は最も高く、1.9%という低水準を維持している。外資系企業は赤坂・六本木エリアに多い。空室の多いビルの賃料水準が魅力的なため、空室率は一時4%まで跳ね上がったが、徐々に2.6%に戻った。2020年4月の非常事態宣言後、ITビジネスに人気の新宿・渋谷の空室率は渋谷を中心に3.6%まで上昇した。その後は急速に回復した。WFHを積極的に取り入れているIT企業は、通常のオフィス、WFH、フレキシブルオフィスを組み合わせたハイブリッドワーキングパラダイムに移行している。従来型オフィスの需要も回復し、現在は2.5%まで下がっている