マーケットトレンド の イタリア風力エネルギー 産業
陸上風力発電の導入拡大が市場を牽引する見通し
- 同国の電気エネルギー需要は高い成長率を記録すると予想されている。エネルギー需要の増加に伴い、イタリアはクリーンなエネルギー源を提供できる再生可能エネルギーセクターの採用に向かっている。陸上風力発電の採用は、高い風力ポテンシャルと技術力によって企業を惹きつけ、高額の投資を可能にするため、同国の風力発電ポートフォリオを後押ししている。
- イタリアは、2021年には11320MWの風力エネルギーが導入され、ヨーロッパにおける累積導入量では第5位の国である。風力発電は、2020年にはすでにイタリアの年間電力需要の約7%を供給している。
- イタリアの風力産業は、風力資源を利用できることから南部と島嶼部に集中している。同国の風力発電ポートフォリオは、建設中の陸上風力発電所プロジェクトで構成されている。例えば、2021年1月、エネル・グリーン・パワー社はモリーゼ州のカステルマウロ風力発電所の建設を開始した。この風力発電所は1基4.2MWの風力タービン7基で構成され、総発電容量は29.4MWで、2022年までに稼働する予定である。
- また2020年8月には、エネル・グリーン・パワー社がイタリアのシチリア島でパルタンナ風力発電所の建設を開始した。この風力発電所は2.4MWの風力タービン6基で構成され、総発電容量は14.4MW、年間約40GWhの発電量を見込んでいる。風力発電所の本格稼働は2021年4月である。
- したがって、陸上風力エネルギーは、国内でのクリーンエネルギー需要の高まりと今後の陸上風力プロジェクトにより、予測期間中、展開場所別に市場を牽引すると予想される。
代替クリーンエネルギー源の採用増加が市場成長の妨げになる可能性が高い
- イタリアは太陽エネルギー生産の先進国のひとつである。イタリアには膨大な太陽エネルギーの潜在力がある。総日射量は、ポー川平野部の1日1平方メートルあたり3.6kWhから、中南イタリアの1日1平方メートルあたり4.7kWh、シチリア島の1日1平方メートルあたり5.4kWhまで幅広い。
- 2021年末には、同国の太陽エネルギー発電容量は2257万kWに達し、同国の豊富な太陽資源を新しい技術で利用することで高い成長率を示している。
- 太陽電池技術の進歩により、太陽電池モジュールの価格が大幅に引き下げられ、太陽エネルギーの経済性が著しく向上している。イタリアは、技術の進歩と政府による政策レベルの支援により、今後数年間で太陽エネルギー市場の成長を目撃することになるだろう。
- イタリアの太陽光発電市場を牽引している主な要因は、今後予定されているソーラー屋根やソーラー設置プロジェクトである。例えば2020年、スペインのユーティリティ・スケール・ソーラー・プラント開発企業Powertisは、イタリアで500メガワットのユーティリティ・スケール・ソーラー(PV)プロジェクトのポートフォリオを開発する計画を発表した。
- イタリアは2020年に約940MWの太陽光発電容量を導入する。さらに、国家エネルギー・気候計画によると、太陽光発電容量は2030年までに約51,200MWまで増加すると予測されている。
- 一方、水力発電所の多くが老朽化しているため、国内ではいくつかのアップグレードプロジェクトが進行中である。例えば、2020年6月、エネルは、イタリアのエネルギー・サービス・オペレーターであるGSEが実施した第3回再生可能エネルギー源オークションで、23.1MWの水力発電所の容量を確保した。このオークションは合計143.8MWで行われ、出力1MW以上の発電所の改修を目的としていた。
- したがって、太陽光、水力などの代替クリーン・エネルギー源は、予測期間中の市場成長を妨げる可能性が高い。