マーケットトレンド の イタリア再生可能エネルギー 産業
ソーラー・タイプが急成長するサブセグメント
- 近年、同国では国際フォーラムや民間企業によるソーラー技術への巨額の投資が行われ、その結果、太陽光発電のシェアが急速に拡大した。同国の電力ミックスに占める太陽光発電の割合は、2020年時点で約26%となっている。
- SolarPower Europeの報告書によると、イタリアでは2020年に太陽光発電の累積容量が2134万kWに達する。また、同国では2024年末までにさらに6.3GWを追加する計画があり、これが今後数年間の同分野の成長を牽引することになる。
- 2020年5月、イタリア政府はCOVID-19経済緩和策の一環として、建物のエネルギー効率改善とともに設置される住宅用太陽光発電システムに対して110%の税制優遇措置を新たに導入した。
- さらに、住宅用太陽光発電システムの価格が2011年のワット当たり3.6ユーロから2020年には1.33ユーロに引き下げられるため、イタリアの家庭では太陽光発電システムの需要が増加しており、太陽光発電市場をさらに牽引している。
- このように、継続的な開発と容量追加により、ソーラータイプ分野が予測期間を支配すると予想される。
今後のプロジェクトと政府政策が市場を牽引する見通し
- イタリア政府は、発電分野における再生可能エネルギーの成長を促進するために、いくつかの計画と政策を発表した。
- イタリア政府は、2030年までに発電量に占める再生可能エネルギーの割合を55%まで引き上げ、太陽光発電容量を52GWにする計画を持っている。これが達成されれば、再生可能エネルギーに占める太陽光発電の割合が大幅に増加することになる。
- 国家エネルギー・気候計画(NECP)によると、イタリアは温室効果ガス排出削減を目指し、2030年の欧州連合(EU)の再生可能エネルギー目標に30%貢献するという目標を掲げており、これが市場成長の原動力となる。
- イタリアでは、2020年の再生可能エネルギー発電量は年率0.8%の成長率で増加した。2015年の63.5テラワットアワーから2020年には70.3テラワットアワーに達し、今後イタリアで予定されている太陽光発電や風力発電のプロジェクトにより成長が見込まれている。
- 2021年、イタリア政府は太陽光発電の普及を加速させるため、許認可のボトルネックを解消する新たな簡素化法令を発表し、国営送電網運営会社Ternaは送電網を改善するため、今後10年間で215億米ドルを投資する予定である。
- イタリアの太陽光発電設備容量は、2019年の20.8GWから2020年には21.6GWに増加した。今後のプロジェクトにより、太陽光発電設備容量は予測期間中に大幅に増加すると予想される。
- また、イタリアは欧州の累積設置量第5位であり、2021年には11,320MWの風力発電が設置される。風力発電は2020年にはすでにイタリアの電力需要の約7%を供給している。
- また、2020年8月、エネル・グリーン・パワー社はイタリアのシチリア島にあるパルタンナ風力発電所の建設を開始した。この風力発電所は2.4MWの風力タービン6基で構成され、総発電容量は14.4MW、年間約40GWhの発電量を見込んでいる。この風力発電所は2021年4月にフル稼働する予定である。
- ソーラーパネルのプロジェクト開発が進んでいることから、ソーラーパネル市場は予測期間中に大きく成長すると予想される。例えば、2020年5月、スペインのユーティリティ・スケールの太陽光発電所開発業者であるPowertis社は、イタリアで500メガワットの太陽光発電(PV)ポートフォリオを開発する計画を発表した。
- 2020年から2024年にかけて、さまざまな再生可能エネルギー・プロジェクトの入札が予定されている。政府は、従来のインセンティブプランよりも市場価格に近いユニタリー・タリフ(大規模発電所の基準価格)を確保することで、市場リスクを取り除こうとしている。
- イタリア政府の今後の政策と新規プロジェクトの進行により、再生可能エネルギー市場は今後数年間で大きく成長すると予想される。