マーケットトレンド の 世界の感染症治療薬 産業
予測期間中、マラリア・セグメントが大きな市場シェアを占める見込み
マラリア疾患分野は、インド、アフリカ、その他の東南アジア諸国などの発展途上国や低開発国におけるマラリア疾患の有病率の増加、医療機関だけでなく市場プレーヤーによる研究開発活動の高まりにより、予測期間中に成長すると予想される
マラリア疾患の有病率の上昇は、予測期間中に感染症治療薬の需要を促進する主な要因である。例えば、2021年に発表された世界保健機関(WHO)のデータによると、サハラ以南のアフリカはマラリアの負担に耐え続けており、全患者の約95%、全死亡者の96%を占めている。さらに、WHOが2021年に発表した報告書「World Malaria Reportによると、マラリア流行国85カ国のうち29カ国が、2020年の全マラリア患者の96%を占めている。インドは世界のマラリア患者の約1.7%、死亡者の1.2%を占めている。同じ情報源によれば、2019年のマラリア症例数が2億2,700万例であったのに対し、2020年のマラリア症例数は推定2億4,100万例であった。このように、国全体でマラリア症例数が増加していることから、マラリア治療薬に対する需要が増加し、感染症に対する需要がさらに増加することで、市場の成長が見込まれる
加えて、研究開発活動の高まりや、製品パイプライン開発のための企業提携の増加が、予測期間中、マラリア治療薬市場に有益な機会をもたらしている。例えば、2021年4月、ヤンセンファーマスーティカNVは、オーストラリアの医療研究センターであるWalter and Eliza Hall Institute of Medical Research (WEHI)と、潜在的な新規抗マラリア薬候補を開発するために共同研究を行った。この共同研究チームは、ヤンセン・ジャンプスターター化合物ライブラリーにある80,000の薬剤類似分子の中から抗マラリア活性を有する化合物を発見した。最も有望な候補化合物は現在、研究者らによって抗マラリア薬候補としてさらに開発が進められている
このように、様々な国々でマラリア疾患の負担が増加しており、研究開発活動が活発化していることから、感染症治療薬の需要が増加し、市場の成長を後押しするものと思われる
予測期間中、北米が最大の市場シェアを占める見込み
北米は、感染症有病率の上昇、より良い医療インフラの存在、主要市場プレイヤーの存在、啓発プログラムの増加により、感染症治療薬市場において主要な市場シェアを占めると予想される
感染症有病率の上昇は、同地域の市場成長を促進する主要因である。例えば、世界保健機関(WHO)によると、2021年、アメリカでは2019年に723,000件以上のマラリア症例が報告され、2010年と比較して7%増加した。同様に、MedAlertHelpが発表した統計によると、2022年にはアメリカ人の約5%から20%が毎年インフルエンザと診断されている。さらに、疾病対策予防センターが発表したデータによると、2021年10月、2019-2020年シーズンには、全体で3500万人のインフルエンザ関連疾患、38万人のインフルエンザ関連入院、2万人のインフルエンザ関連死亡、1600万人のインフルエンザ関連受診が報告された
また、企業や団体が感染症治療薬の開発に注力するようになり、同地域での製品上市が増加していることも、米国市場の成長を後押しすると予想される。例えば、2021年9月、非営利団体であるTB Allianceは、抗結核薬プレトマニドの製造に関する非独占的ライセンスをLupinに付与した。同様に、2021年3月、ギリアドはマイヤー・ファーマシューティカルズを1,450億ユーロで買収した。この買収によりギリアド社は、2020年7月に欧州医薬品庁(EMA)より、代償性肝疾患を有する成人における慢性δ型肝炎ウイルス(HDV)の治療薬として条件付きで承認されたヘプクルデックス(ブレビルチド)にアクセスできるようになった
以上のような要因から、同市場は予測期間中に高成長を遂げると予想される