マーケットトレンド の 産業用麻 産業
食品・飲料部門からの需要の増加
- 工業用ヘンプはカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)の系統から得られる。
- ヘンプシードはお菓子作りに使われたり、ヘンプミルクのような飲料を作るのに使われたりする。ヘンプシードは生でも食べることができ、タンパク質含有量が高いため、動物の飼料や鳥の種子に使われる。
- 麻の実を圧搾すると、不飽和脂肪酸を多く含む麻油ができる。麻の葉はそのままサラダとして食べたり、搾ってジュースにすることもできる。
- 麻の実には、リノール酸(オメガ6)とリノレン酸(オメガ3)という2種類の必須脂肪酸が豊富に含まれている。また、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンDも豊富に含んでいるため、そのまま飲める飲料、エナジードリンク、スナックやシリアル、スープ、ソース、ベーカリー製品などに使われている。
- 人間は必須脂肪酸を作り出すことができない。麻の実は、リノール酸(オメガ6)とリノレン酸(オメガ3)の優れた供給源であるため、麻の実を加えることは有用である。ヘンプシードは飽和脂肪酸が少なく、トランス脂肪酸も含まない。
- また、Statista社によると、世界の食品・飲料業界は2022年から2026年にかけて年平均成長率9.11%を記録し、2026年末には10億5,000万米ドルに達すると予想されている。
- ブラジルの外食産業だけでも、2021年には822億米ドルの売上があり、2020年比で26%の成長であった。米国農務省によると、同産業は18%の成長率を記録すると予想されている。世界最大級の45,000社が存在し、そのうち86%が中小企業である。
- ブラジル食品加工業者協会(ABIA)によると、同国の食品加工部門の2021年の売上高は1,710億米ドルで、2020年に比べ16.9%増加した。同国における食品生産の増加は、同国における工業用ヘンプの需要を押し上げる可能性がある。
- 上記のような要因から、食品・飲料分野からの工業用大麻の需要は予測期間中に急成長すると予想される。
市場を支配する北米地域
- 北米地域は予測期間中に最も速い速度で成長すると予想されている。米国やカナダなどの国々では、老人人口の増加や消費者意識の高まりにより、工業用ヘンプの需要が増加している。
- 皮膚疾患に対する懸念の高まりや慢性疾患の増加が、産業用ヘンプの需要を押し上げると予想される。
- 農業法案2018の成立後、麻の栽培と様々なエンドユーザー産業で使用されるその製品に多くの新たな展望が生まれている。しかし、この作物を合法化する法律を成立させ、ヘンプの生産、検査、認可、輸送を指導する州の規制と法律の概要を示す計画を米国農務省に提出するかどうかは、まだ各州次第である。
- 米国農務省が2月に発表した調査報告書によると、米国の農家は2021年に8億2,400万米ドル相当の産業用ヘンプを生産した。このうち、種子用ヘンプは4,150万米ドル、繊維用ヘンプは4,140万米ドル、穀物用ヘンプは599万米ドルであった。
- 2021年麻作付面積・生産量調査によると、露地栽培の麻の利用価値のトップは6億2,300万ドルであった。保護下で栽培された麻の利用は、フローラルが6,440万米ドルでトップであった。
- 米国農務省によると、米国における露地栽培の産業用大麻の作付面積は、すべての用途を合わせて54,152エーカーであった。米国の露地麻生産額は7億1,200万ドル。米国で保護下に栽培された麻の生産額は1億1,200万ドル。
- 米国の製薬産業は世界最大で、世界の製薬収入の40%以上を占める。最近の低迷にもかかわらず、今後数年で上昇する可能性が高い。米国では人口の増加と高齢化がこの拡大に拍車をかけている。さらに、米国では人口の15%が65歳以上であり、この割合は今後も拡大すると予測されている。全体として、製薬業界の需要拡大が、産業用ヘンプの市場需要を牽引する可能性が高い。
- また、メキシコの繊維産業は、米国、カナダ、メキシコ間の自由貿易を認めるNAFTA協定の恩恵を受けている。NAFTA2.0とも呼ばれる米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を受けて、メキシコは特に繊維産業において、中国の製造業シェアをさらに切り崩すのに最適な立場にある。
- 前述の要因は、政府の支援と相まって、予測期間中の産業用ヘンプ需要の増加に寄与している。