マーケットトレンド の 家庭用ロボット 産業
急速な都市化が市場を牽引
- 世界では急速な都市化が進んでおり、2050年までに人口の68%が都市部に住むようになると予想されている(WHOによる)ため、都市の成長は、渋滞、汚染、食糧と水の安全保障、エネルギーへのアクセス、廃棄物管理、インフラ整備の面で大きな課題を生み出している。
- 都市は、自動化や人工知能といった第4次産業革命を契機とする技術的変化の中心にあるため、都市のさまざまな課題に対処するため、ロボット工学を含むさまざまな技術を急速に導入している。例えば、世界人口の高齢化に伴い、自動化されたサポートの必要性が高まっている。WHOの推計によると、60歳以上の人口は10億人を超え、2030年には14億人、つまり6人に1人に増加し、さらに600万人の看護師が必要となる。
- 人口参照局が発表した「世界人口データシート2022によると、北米は世界で最も都市化が進んだ大陸で、人口の83%が都市に住んでいる。ラテンアメリカとカリブ海諸国では、都市化の度合いが81%であった。世界で都市部に住む人の割合は、2020年の56%か ら2050年には70%に増加すると予測されている。
- しかし、最も急成長しているのは依然としてアジア太平洋地域である。日本の東京・横浜は、人口3,920万人を擁する世界最大の都市圏である。この数字は、市場ベンダーが新製品に投資する大きな余地となる。
- 工業化の進展もまた、アジア太平洋地域、特に中国やインドなどの国々の都市化率を押し上げている。例えば、中華人民共和国国務院によると、同国の永住者の都市化率は前年に64.72%に達した。第14次5ヵ年計画によると、中国政府は都市化率を65%以上に引き上げることを目標としている。
アジア太平洋地域が急成長市場になる見込み
- アジア太平洋地域は、中国、日本、インドなどの経済圏における家庭用ロボットの大幅な導入により、高い成長を記録すると予想される。同地域では、中国や日本の企業によるロボットシステムの急速な開発により、清掃ロボットの需要と消費が増加する可能性がある。
- 同地域は、主に技術の大規模な採用と国内生産の増加により、最も急速に成長している清掃ロボット市場の一つである。この地域のベンダーは、清掃ロボット分野の革新と開発においても重要な役割を果たしている。例えば、2022年5月、大手家電ブランドであるハイアールは、インド初のスマート掃除機を発売した。乾湿両用の2in1モップロボット掃除機は、2.4GHzのWi-Fiとグーグルホームアシスタントを搭載し、ハイアールのスマートアプリ、音声コントロール、リモコンによるスマートな管理を提供する。
- この地域における家庭用ロボットの需要を促進している重要な要因として、都市化率の上昇と各国における人口のライフスタイルの変化が挙げられる。例えば、人口参照局によると、中国とインドの都市人口は2030年までに3億4,000万人以上増加すると予想されている。ラオスのような小さな国でも、2030年には都市化率がわずか43%にまで低下する一方で、都市人口が約320万人増加すると予想されている。
- ロボット産業の成長を促進する政府のさまざまな取り組みも、組織間の協力関係を促進し、革新的な技術の開発をもたらすため、市場の成長に有利なシナリオを作り出している。例えば、中国政府は第14次5ヵ年計画において、ロボット産業を経済戦略上極めて重要なものと位置付けている。中国は2025年までに、世界のロボット技術革新の重要な供給源となることに注力する。
- 清掃ロボットの需要を促進することから、エンターテインメントやコンパニオンとしてのヒューマノイド・ロボットのニーズまで、こうしたトレンドは予測期間中の市場成長にプラスに寄与すると予想される。