マーケットトレンド の 海底送電システム 産業
著しい成長を遂げるHVDCシステム
- 海底送電は、国家間の電力取引に注目が集まっていることから、重要性を増している。HVDC海底送電システムは、将来の送電網整備に不可欠と考えられている。HVDCは、長い海底距離を大電力で送電するための唯一のソリューションである。こうした理由から、HVDC送電線は世界中の洋上風力発電所を相互接続するのに好まれている。
- HVDC送電システムでは、海底送電ケーブルは、特にケーブルの静電容量が多くの追加充電電流を必要とする長いリンク上では、コストを低く抑えることができ、予測期間中の送電システム市場を促進する。
- GE Grid Solutionsによると、±800kVのUHVDCの場合、送電損失は5%未満で、送電路の幅はわずか50メートルと大幅に縮小される。物理的な設置面積、インフラコスト、視覚的な影響は、従来の500kV交流送電システムと比べて大幅に減少する。
- マトリックスにおける再生可能エネルギーの割合が高まるにつれ、HVDCリンクの利用率も高まっている。例えば、ENTSOE-e(欧州送電系統運用者ネットワーク)によると、2012年以降の欧州における全HVDCリンクの年間利用率は57%から62%に増加している。このことは、HVDCインフラに対する利用率と需要の高まりを浮き彫りにしており、予測期間中の市場の牽引役となることが期待される。
- 2022年12月、Xlinks Morocco-UK Power ProjectはConergyから数百万ポンドの投資を受けた。このプロジェクトは、モロッコのGuelmim Oued Noun地域で発電された再生可能エネルギーを、世界最長となる3,800kmのHVDC海底ケーブル4本を通して輸出するものである。
- 同様に2022年7月、日立製作所はオーステッド社から、ホーンジー3洋上風力発電所からグリーン電力を送電する高電圧直流(HVDC)システム2基を受注したと発表した。
- 洋上風力発電所の増加やHVDCケーブルによる各国間の相互接続などの要因により、予測期間中に海底送電システムの需要が増加すると予想される。
アジア太平洋地域が市場を支配する
- アジア太平洋地域は海底送電システム市場を支配すると予想され、中国が市場をリードし、ASEAN諸国がこれに続く。
- 中国政府は、公害を抑制し、火力発電の割合を減らすため、再生可能エネルギーのインフラ整備を積極的に推進している。このため、予測期間中、同国では風力発電プロジェクトの開発が促進されると思われる。洋上風力発電市場では、中国が世界のリーダーであり、2021年現在、中国の洋上風力発電設備容量は約2639万kWである。
- インドの洋上風力発電市場はまだ初期段階にあり、約60GWの潜在力がある。同国の洋上風力発電の潜在的な地域は、グジャラート州とタミル・ナードゥ州の海岸に位置している。また、60GWの洋上風力発電の可能性を持つインドは、2030年までに30GWの設置を目指している。2022年11月、インドの新・再生可能エネルギー省(MNRE)は、2022年から23年にかけて4GW相当の洋上風力発電プロジェクトを行うため、タミル・ナードゥ州沖の海底をリースする入札案を発表した。
- さらに、島国である日本とASEAN諸国は、島と島の間に大規模な送電設備を持っている。島国である日本には洋上風力発電に適した場所が多い。同国は、洋上風力発電は陸上風力発電の5倍の発電量があると分析している。
- また、フィリピンには7,500以上の島があり、そのうち2,000島に人が住んでいる。ASEAN諸国の大半は小さな島の集まりで構成されており、各島で発電することはできない。そのため、島々間の送電が必要となり、市場を牽引している。
- 以上のことから、予測期間中、アジア太平洋地域が海底送電システム市場を支配すると予想される。