の市場トレンド リン酸肥料市場
増大する食糧需要を満たすための農業への圧力の高まりは、畑作物の栽培面積を増加させると予想される。
- 世界の農業セクターは多くの課題に取り組んでいる。国連は、2050年までに世界人口が90億人を突破すると予測しており、すでに労働力不足や都市化による圃場の縮小に苦しんでいる農業界に負担をかける可能性がある。国連食糧農業機関は、2050年までに世界人口の70%が都市部に居住するようになると予測している。世界中で耕地が減少するなか、農家は食糧需要の増加に対応するため、作物の収量を増やす肥料への依存を強めている。
- アジア太平洋地域は世界有数の農業生産地であり、その労働力の約20%を農業が占めている。畑作が主流で、この地域の作付面積の95%以上を占めている。コメ、小麦、トウモロコシは、2022年の作付面積の24.3%を占め、この地域の主要な畑作物である。
- 北米は世界第2位の耕作可能地域であり、畑作物を中心とした多様な作物ポートフォリオを誇っている。特に、トウモロコシ、綿花、米、大豆、小麦が中心となっていることが、米国農務省によって強調されている。2022年には、米国は北米の作物栽培面積の46.2%を占めている。しかし、テキサスやヒューストンのような地域での大洪水を含む悪環境が、2017年から2019年にかけて同国の作物栽培面積の大幅な減少をもたらし、気候変動に対する農業生産の脆弱性を浮き彫りにした。
カノーラはポタシキ肥料の施用量が世界的に最も多く、平均施用量は248.6kg/haである。
- トウモロコシ、菜種、綿花、ソルガム、コメ、小麦、大豆は、養分要求量が高いことで知られる世界的に著名な作物である。2022年のこれらの作物の平均一次養分施用量は、トウモロコシ(230.57 kg/ha)、菜種(255.75 kg/ha)、綿(172.70 kg/ha)、ソルガム(158.46 kg/ha)、コメ(154.49 kg/ha)、小麦(135.35 kg/ha)、大豆(120.97 kg/ha)であった。一次栄養素は作物にとって不可欠であり、代謝プロセスを促進し、細胞、細胞膜、クロロフィルなど、植物に不可欠な組織の形成に寄与する。特に、リンは高品質な作物の栽培に不可欠であり、カリウムは植物の成長に必要な酵素の活性化に極めて重要な役割を果たしている。
- 世界規模では、畑作物の窒素、カリウム、リンの平均養分施用量は164.31kg/haである。最も広く使用されている第一養分としては窒素がトップで、施用量は224.6 kg/ha、次いでカリウムが150.3 kg/haである。リンは第3位で、2022年の消費量は117.9kg/haである。
- 2022年の窒素施用量は菜種が最も多く347.4kg/haであった。リンの施用量はトウモロコシが156.3 kg/haでトップ、カリウムの施用量はカノーラが248.6 kg/haでトップである。
- 畑作物の栽培は世界的に増加しており、中でも南米とアジア太平洋地域の伸びが顕著である。これらの地域は肥料の主要市場として台頭してきている。ヨーロッパや北米のような先進地域は、養分不足に悩む地域とともに、その効能を期待して特殊肥料に目を向けるようになっている。このような動きは、今後数年間、一次栄養肥料市場を活性化させるだろう。
本レポートで取り上げているその他の主要業界動向
- 果物・野菜の需要拡大が園芸作物栽培の拡大を牽引
- アジア太平洋地域は世界の灌漑面積の大半を占め、2022年には66.8%を占める
- リンは、高級果菜類の栽培に重要な役割を果たし、その施用量は297.3 kg/haである。