マーケットトレンド の グローバルバイオシミラー 産業
バイオシミラーの世界市場においてがん領域が大きなシェアを占める
バイオシミラー市場では、がん領域が大きなシェアを占めると予想されており、世界的ながん罹患率の高さが、予測期間における当該領域の成長を牽引する主な要因となっている。国際がん研究機関2020によると、2020年の新規白血病患者数は世界で474,519人と推定されている。同出典によると、この疾患は死亡率も著しく高く、世界の総死亡者数は311,594人であった。さらに、国際がん研究機関(IARC)の推計によると、2040年までに、世界のがんの負担は、新たに2750万人のがん患者が発生し、1630万人が死亡すると予想されている。がん罹患率の増加は、患者の効果的な治療のための高度な抗がん剤の必要性を促進すると予想される
加えて、がん領域に注力する主要企業による研究開発活動の活発化と、さまざまな規制当局による承認の増加が、研究市場の成長を促進すると予想される。例えば、2020年12月、アムジェンは、非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎の成人患者の治療薬として、リツキサン(リツキシマブ)のバイオシミラーであるRIABNI(rituximab-arrx)の承認を米国食品医薬品局(USFDA)から取得した。さらに、2022年5月、Biocon Biologics Ltd.とViatris Inc.は、ロシュのアバスチン(ベバシズマブ)のバイオシミラーであるAbevmy(ベバシズマブ)について、カナダ保健省から4つのがん領域の適応で承認を取得した
このように、上記の要因から、がん領域は予測期間中に大きな成長が見込まれる
北米が主要シェアを占め、予測期間中はバイオシミラー市場を支配する見込み
北米は、バイオシミラー市場において予測期間中に大きなCAGRを観測すると予測されている。同地域におけるバイオシミラー市場の成長を牽引する主な要因としては、癌などの慢性疾患の罹患率の高さに加え、大手企業による研究開発活動への投資の増加が挙げられる。GLOBOCAN 2020によると、2020年に米国で新たにがんと診断された患者数は2,281,658人で、612,390人が死亡した。すべてのがんの中で、乳がんが253,465例と最も多く、次いで肺がん(227,875例)、前立腺がん(209,512例)、結腸がん(101,809例)となっている
さらに北米は、ファイザー社、マイラン社、アムジェン社、コーヘラス・バイオサイエンシズ社など、同市場における多くの主要企業の拠点となっている。製品パイプラインの増加や新製品の上市は、同地域の市場成長を増大させる。例えば、2020年6月にファイザー社がペグフィルグラスチムのバイオシミラーであるNyvepriaの承認を米国で取得した。さらに2021年2月には、コーヘラス・バイオサイエンシズ社が、ヒュミラ(アダリムマブ)バイオシミラー候補品CHS-1420の351(k)生物製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表した
このように、がんをはじめとする慢性疾患の罹患率が高く、研究開発活動が活発化している北米では、予測期間中に市場が大きく成長することが期待されています