マーケットトレンド の タンザニアの果物と野菜 産業
消費者の健康意識の高まり
- タンザニアの消費者の健康意識の高まりにより、消費者は果物や野菜のような健康的な食品により多くの支出をするようになった。免疫力の低下やビタミンC欠乏症、歯ぐきの出血といった健康上の合併症が、国民に野菜や果物のような健康的な食品を食生活に取り入れるよう促している。これは、需要の増加に対応するため、果物や野菜の生産量が増加していることに反映されている。
- 国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、2017年の野菜の生産量は276万トンだった。近年、野菜の収穫に使われる面積が減少しているとはいえ、2020年の生産量は277万トンである。果物については、生産量は2017年の470万トンから2020年には560万トンに増加した。果物や野菜に対するこのような消費者需要の増加は、輸入にも反映されている。ITCのデータによると、生鮮野菜の輸入額は昨年から16%近く増加し、2021年には580万米ドルに達する。
- さらに、タンザニアは栄養不良、栄養不足、過体重または肥満、微量栄養素欠乏症に取り組む栄養目標を設定しており、2025年までに発育阻害を15%まで減らす努力をしている。これにより、タンザニア国民の果物や野菜の摂取量が増加すると予想される。また、化学農薬や化学肥料の使用に対する消費者の懸念の高まりから、有機農法で生産された作物が人気を集めている。より健康的な代替品に切り替える消費者の増加に伴い、果物や野菜の需要は予測期間中に伸びると予測される。

拡大する輸出機会
- タンザニアからの果物や野菜の輸出はここ数年で伸びており、農業セクターの成長を牽引する主要なサブセクターとなっている。要求の厳しい市場への輸出をターゲットとする意識が高まったことで、農家は野菜の品質基準を高め、高い利益を上げるようになった。
- 生産者たちはグループを形成し、契約農家として、あるいは大規模輸出企業への栽培委託業者として生産を行っている。また、TAHA(Tanzania Horticulture Association)と呼ばれる全国的な農民組織は、農家の規模に関係なく、国内の全農家を代表している。TAHAは政府や関係者と直接つながっている。
- さらに、世界的な消費者需要の高まりから市場は活況を呈しており、生産者が持続可能な生産に注力する一方で、各組織は新品種の開発に力を入れている。インドのような新しい市場もタンザニア産の果物に門戸を開いている。例えば、2022 年にはインドがタンザニア産アボカドの市場を開放し、輸出関係が改善される予定である。
- ITC によれば、タンザニア産果物・野菜の主な輸出先はベトナム、インド、オランダ、イギリス等である。2021 年の野菜の輸出総額は 3 億 1,080 万米ドルで、2020 年より 40.6%増加した。同国で生産・輸出される主な果物は、バナナ、マンゴー、オレンジ、スイカなどである。貿易自由化政策により、バナナは同国で高度に取引されている。バナナは主に季節性がないことで有名で、一年中食料を確保する上で重要な役割を果たしている。タンザニアからのオレンジの輸出も、過去数年間の大不振の後、増加している。
- ITC Trade のデータによると、2020 年の輸出額は 151,000 米ドル、2021 年には 481,000 米ドルに達する。このように、持続可能な方法で生産された果物や野菜に対する輸出市場からの需要が、市場を牽引する主な要因となっている。
