マーケットトレンド の サウジアラビアの果物と野菜 産業
青果物の自給を目指して
サウジアラビアは、高温や長期の乾燥といった気候条件の悪さから、野菜などの生鮮食料品を輸入に頼っている。野菜生産の自給を目指し、サウジアラビア政府は点滴灌漑や保護栽培などの技術を推進してきた。これにより、同国での生産量は増加している。FAOSTATによると、サウジアラビアの果実生産量は2017年に2,370,735.0トンを占め、2020年には2,913,925.0トンに達する。このような取り組みにより、サウジアラビアの輸入依存度を下げ、国内生産を促進することが期待される
商務省の報告によると、サウジアラビアの果実生産量は6年間で194%増加し、2020年末には270万トンに達する。デーツはサウジアラビアの果物の中でトップに位置し、農業の成長を推進する主要な果物の一つである。デーツの生産量は世界第2位で、2020年には150万トンに達する
サウジアラビアにとって、食料安全保障は長年にわたる国家戦略目標であり、サウジ・ビジョン2030の一部でもある。同国では食料安全保障への重点が拡大した結果、食料作物の国内生産が増加し、最終的には食料の輸入依存度を最小化するために生産面積が拡大した。その鍵を握るのが農業開発基金(ADF)で、KSAの農業セクターを監督・支援する上で極めて重要な役割を果たしている
食料安全保障を背景としたいくつかの政府政策が、近年、果物・野菜部門の成長を後押ししている。例えば、政府機関であるサウジアラビア農業銀行(SAAB)は、中小の土地保有農家に補助金を提供し、無利子融資を行い、生産者を財政的に支援している。さらに2021年には、サウジアラビア農業開発基金が、国内の食料安全保障を強化するために農産物を輸入するための運転資金を調達するため、2億2,900万米ドル以上に相当する複数の融資を承認した