マーケットトレンド の フローバッテリー 産業
バナジウム・レドックス・フロー電池は大きな成長が見込まれる
- バナジウム・レドックス・フロー電池(VRFB)はレドックス・フロー電池(RFB)で、負極と正極のハーフセルでそれぞれバナジウムのV2+/V3+とV4+/V5+の酸化還元カップルを利用してエネルギーを貯蔵する。これらの電池の定格出力と定格エネルギーは互いに関係なく、それぞれ異なるタイプの用途に最適化することができる。
- 多くの国々は、常に隙間なくエネルギー需要の増加に取り組んできた。その結果、独立型エネルギー・システムと再生可能エネルギー・システムの両方に、多くのエネルギー貯蔵システムが導入されてきた。
- 過去10年間、再生可能エネルギーの設備容量と発電量は世界中で着実に増加している。2021年中、世界の再生可能エネルギー設備容量は3063.93GWに達し、約9.1%増加した。太陽光や風力などの再生可能資源は、断続的かつ様々なレベルで発電するため、需要が高い時にこのエネルギーを貯蔵することが不可欠である。
- このため、最新のエネルギー貯蔵システム(ESS)は、再生可能エネルギー・プロジェクトに不可欠なものとなりつつある。再生可能エネルギー分野の急成長は、世界のESS市場成長の強力な原動力のひとつになると予想される。
- 例えば、2022年12月、台湾の産業技術企業であるEverdura社は、Invinity Energy Systems社に15MWhの注文を与えた。これは、VRFバッテリーのニーズが高まっていることを示しており、予測期間中にもこのようなことが起こると予想される。
- より新しく安価なバッテリー技術の開発により、ESSを搭載した住宅用、商業用、産業用の太陽光発電システムも増えている。
- このような開発は、予測期間中に市場を推進すると予想される。
アジア太平洋地域が市場を支配する見込み
- アジア太平洋地域は電池製造の主要地域である。世界で最も多くの電池がこの地域で製造されている。中国や日本のような国々が、この地域の電池開発に貢献している。この地域のバッテリー市場のもう一つの顕著な促進要因は、エネルギー貯蔵プロジェクトへの投資の増加であり、現在この地域で最も速いペースで進んでいる。このため、今後数年間に多くの再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵プロジェクトが発表される見込みである。
- フロー電池には、持ち運びが容易、モジュール式、高効率という利点がある。この電池は大規模に展開でき、kWからMWの範囲に容易に対応できる。その結果、アジア太平洋地域の関係者は、再生可能エネルギー発電と組み合わせた電力システムやグリッド・エネルギー貯蔵システムの開発に注力している。
- さらに、中国は最新の5カ年計画(2021~25年)で、太陽光発電と風力発電プロジェクトにエネルギー貯蔵システムを義務付けた。このことも、調査期間中の同地域における市場の成長を支える可能性がある。
- 2022年8月、Rogkepower社は、レドックスフロー電池蓄電システムが大連市の発電プロジェクトで使用されることを発表した。同電池システムは、風力タービンなどからのエネルギーを最大400メガワット時まで貯蔵できる。プロジェクトへの投資額は約2億8,100万米ドルと見積もられている。2021年8月現在、栄科は合計約560MWhのレドックスフロー電池を納入している。大連プロジェクトにはさらに400MWhの蓄電池が追加される。
- 住友電工は2022年4月、日本北部の北海道で51MWhのフロー電池プロジェクトを実施すると発表した。北海道は利用可能な土地が多く、クリーンエネルギーのホットスポットである。北海道電力は新しいシステムを南早来変電所に設置し、送電網をサポートする。北海道電力と他の関係者は、電池の運用コストを折半する。
- このように、再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵のための新しい製造施設とプロジェクトにより、この地域は今後数年間市場をリードしていくと予想される。