マーケットトレンド の ヨーロッパ風力発電 産業
オフショア部門が市場で著しい成長を遂げる
- 欧州は洋上風力発電のリーダー的存在であり、世界最大の風力発電所が稼働している。同地域の洋上風力発電容量は、欧州の電力需要を満たすのに十分な規模であり、今後数年間でさらに増加することが予想される。
- 洋上風力発電所の設置は、陸上風速に比べて風速が速いため、有利な市場になりつつある。
- 今後、洋上風力発電の導入は、欧州グリーン・ディールを実現する中核となる。欧州連合が2050年までにカーボンニュートラル目標を達成するためには、2030年まで毎年32GWの新規風力発電容量が必要であることを考えると、欧州の洋上風力エネルギーの累積容量は2021年末に約28ギガワットのピークに達した。
- また、欧州委員会は、2030年までの再生可能エネルギー40%目標に向けた進捗を加速させるため、2022年1月に再生可能エネルギーの許可に関する公開協議を開始した。これは、全国的な風力発電設備の増加につながる。
- さらに2022年4月、英国のボリス・ジョンソン首相は、2030年までに最大50GWの洋上風力発電を稼働させるという目標の引き上げを含む、英国のエネルギー安全保障を強化する計画を発表した。これにより、英国全土における洋上風力発電の成長が支援されることになる。
- さらに、2022年7月、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、オーステッド社にホーンジー3洋上風力発電所の差金契約を発注した。このプロジェクトの発電容量は2,852MWで、英国の320万世帯の電力を賄うのに十分な低コストのクリーンな再生可能電力を生産する。
- したがって、予測期間中、洋上風力発電市場はプラスになると予想される。
ドイツが市場を支配する可能性が高い
- ドイツには、高品質でコスト競争力のある風力エネルギー資源が豊富に埋蔵されている。このため、ドイツは欧州地域で第1位の風力発電設備容量を誇り、2021年の総設備容量は63.8GWに達する。この設備容量は、同国内の350万世帯以上の電力をまかなうのに十分な量である。
- 安価で信頼性が高く、クリーンで多様な電力供給へのニーズが高まる中、国中の政府や電力会社は、風力発電をソリューションとして検討するようになっている。さらに、同国には他に類を見ない風力資源があるため、風力エネルギー開発に伴う経済的・環境的利益を最大化する機会は十分にある。
- さらに、同国は発電量の65%を再生可能エネルギーで賄うという目標を掲げており、2022年までに原子力発電所を停止し、2038年までに石炭発電を段階的に廃止する計画だ。期待される洋上風力産業の成長は、この目標を達成するには不十分だ。これに加え、陸上風力産業の減速が再生可能エネルギー目標達成の大きな懸念材料となっている。
- 2022年9月、ヴァッテンフォールABは参入権を行使し、ドイツ北海沖のN-7.2洋上風力発電プロジェクトの開発権を取得した。このプロジェクトは2027年までに試運転が開始される予定で、出力は980MW、年間発電量はドイツの100万世帯以上の消費量に相当する。
- 2021年11月、BASFとOrsted社は25年間の売電契約を締結し、BASFはOrsted社がドイツ北海に計画しているBorkum Riffgrund 3洋上風力発電所から186MWの電力を引き取ることになった。
- こうした点から、予測期間中、ドイツが欧州風力エネルギー市場を支配すると予想される。