マーケットトレンド の ヨーロッパの精製石油製品 産業
航空燃料の使用量は大きく伸びる
- ヨーロッパ諸国では旅客の航空輸送が大幅に増加している。これからの需要を満たすために、航空が必要とされている。また、EUの航空部門は航空輸送の脱炭素化に取り組んでおり、2050年までに欧州を世界初のCO2ニュートラル大陸にするための努力を加速させている。
- 航空燃料は、英軍が使用する燃料の約3分の2を消費している。英国の防衛航空部門は、持続可能な航空燃料の採用に関する動きが活発化しているため、かなりの成長が見込まれる。
- 米国エネルギー情報局によると、2021年の英国のジェット燃料消費量は1日当たり約101千バレルと報告されており、2020年に記録された1日当たり107.3千バレルより比較的少ない。
- しかし、2021年12月にスペイン国防省がエアバスH135ヘリコプターを36機発注し、軍用機の在庫が増加した。これは予測期間中の航空燃料販売を押し上げると予想される。
- さらに、2022年2月、IATAはスペイン政府に対し、スペイン航空会社(AENA)からの空港使用料の値上げ提案を拒否するよう促した。この提案は、パンデミック時の25億2,000万米ドルに相当する経済的損失を回復するために行われた。このような決定は、より多くの航空旅客の旅行を促し、この地域の石油精製品市場の成長につながると期待される。
- 以上のことから、予測期間中、航空燃料の使用量の増加が欧州の石油製品市場の成長に寄与すると予想される。
イギリスが市場を支配する見込み
- イギリスはEUの中でも石油精製品を利用する主要国のひとつである。航空輸送は同国の経済において重要な部門であり、2021年には同国のGDPに占める割合は小さいながらも大きな割合を占めている。2020年にはCOVID-19の発生により、政府はいくつかの航空規制を実施せざるを得なくなり、ジェット燃料消費量の減少につながった。
- 英国石油産業協会(UKPIA)によると、ガソリンは英国で最も多く生産されている石油精製品である。2012年から2021年にかけて、ガソリンの生産量は石油製品全体の27%を占めた。次いでディーゼル(ディーゼルエンジン車用燃料-DERV)が22%である。
- また、英国では2021年時点で8,378のガソリンスタンドが営業している。イタリアが20,000以上のガソリンスタンドを有し1位であるのに対し、英国はガソリンスタンド数で欧州の上位10カ国に入る。
- ここ数日、同国では住宅・商業スペースでのLPG需要が増加している。LPG需要の増加は、予測期間中の同国の石油精製品の成長につながる可能性がある。
- さらに、2022年10月には、英国の大手液化石油ガス(LPG)供給会社の1つであるFlogas Britainが、ブリストル港からアヴォンマウスにある英国最大の地上LPG貯蔵ターミナルにガスパイプラインを建設する計画許可を取得した。ナショナル・グリッドが所有していたこの貯蔵施設は、以前はLNGしか貯蔵できなかった。しかし、フロガスはこれをLPGとグリーンガスの貯蔵施設に改造し、3万4,564トンを貯蔵できるようにする。
- さらに2022年2月には、北海の6つの新規油ガス田が英国政府からの承認をほぼ確認した。大蔵省は、6つのエネルギー鉱区の建設ライセンスを迅速に取得するよう上級当局に働きかけた。このことは、国全体の石油・ガス生産活動に利益をもたらし、さらに石油精製品市場の成長に結実する。
- 以上の点から、予測期間中、英国が欧州石油精製品市場を支配すると予想される。