マーケットトレンド の ヨーロッパの心臓補助装置 産業
予測期間中、人工心臓全セグメントが大きな市場シェアを占める見込み
- 全人工心臓(TAH)は機械的循環補助の一形態で、患者の心室と弁を摘出し、空気圧で動く人工心臓と置き換える。TAHは一般に、心臓移植への橋渡しとして末期の二心室性心不全に用いられる。TAHはしばしば、心不全患者の治療の最後の手段として、他の補助人工心臓よりも優先される。
- そのため、TAHは調査対象市場で大きなシェアを占めると予想される。高齢者人口の増加と相まって心不全の割合が増加していることや、技術的に先進的な製品の導入といったその他の要因も、本調査の予測期間中に同分野の成長を促進すると予想されている。
- 例えば、2022年12月にEuropean Heart Journalが発表した論文によると、心不全(HF)はフランスにおける臨床上および公衆衛生上の主要課題の1つであり、フランスではHFの入院率は安定している。また、その発生率は加齢とともに増加することが予想され、ヨーロッパ諸国におけるHF患者の年齢の中央値は70歳を超えている。したがって、HFは主に高齢者が罹患する疾患と考えられている。したがって、心不全の有病率の高さと老人人口の増加が相まって、同分野の成長を押し上げると予想される。
- さらに、Eurostatが2023年2月に発表したデータによると、2022年には欧州人口の5分の1以上にあたる21.1%が65歳以上であり、欧州人口の年齢中央値は上昇傾向にあり、2022年1月時点では44.4歳であったことから、欧州人口の半数が44.4歳以上の高齢者ということになる。したがって、老年人口の増加と相まって心不全が増加しているなどの前述の要因が、セグメントの成長を促進すると予想される。
予測期間中、英国が大きな市場シェアを占める見込み
- 英国は、同国における心不全有病率の上昇、先進製品の入手可能性、高齢者人口の増加により、市場の主要シェアを占めると予想されている。
- 心不全の有病率の上昇は、このセグメントの成長を促進する主な要因である。例えば、英国心臓財団が2022年に発表したデータによると、2021年に英国で推定207,851件の心不全の入院エピソードが発生している。このように、同国における心不全の有病率の高さは、セグメントの成長を後押しすると予想される。
- さらに、2022年8月にPubMedによって発表された論文によると、英国で研究が実施され、中央値6.1年の追跡調査期間中、心不全の全体的なプール発生率は毎年1万人当たり98.5人であった。このように、同国では心不全の発生率が高いため、本調査の予測期間中、心臓補助装置の使用率が高まることも予想される。
- さらに、国連人口基金ダッシュボード(United Nations (UN) Populations Fund Dashboard)が2022年に発表したデータによると、英国では2022年に人口の19%が65歳以上になると推定されている。このように、心不全は高齢者に多く見られることから、同国における高齢者人口の増加も同分野の成長を後押しすると予想される。したがって、心不全の有病率の上昇や老人人口の増加といった前述の要因は、同国の市場成長を促進すると予想される。