マーケットトレンド の ヨーロッパの弾薬 産業
予測期間中、軍需産業が市場シェアを独占
- ロシアのウクライナ侵攻、国境を越えた紛争、テロリズムの台頭など、この地域の軍事情勢が激動しているため、欧州諸国は年間の国防支出と関連軍事予算を大幅に増加させている。
- 2021年中、欧州諸国の軍事費全体は4,180億米ドルに達し、2020年比で3.0%の増加を示した。2021年には、NATOの同盟国の大部分と欧州連合(EU)の全加盟国を含む2つのサブリージョンである中欧と西欧の軍事費を合計すると、3420億米ドルを超えることになる。
- ドイツ政府は2022年2月に1,127億米ドルを軍に割り当てた。ロシアによるウクライナ侵攻のため、ドイツ軍への投資や兵器プログラムを含む国防予算が引き上げられた。また、フランス軍大臣は2023年の軍事予算として、前年比30億ドル増の429億米ドルを提案している。さらに、近代的な兵器や弾薬の獲得が増加していることも、欧州市場の拡大を後押ししている。
- 例えば、フランス陸軍は2022年6月、遠隔操作兵器システムの実戦配備を長期的に推進する一環として、米国製ロイタリング爆弾を急速に購入し始めた。こうした動きは、予測期間中、軍用エンドユーザーからの各種弾薬の需要を促進すると予測される。
ロシアが最も高い弾薬需要を生み出す
- ロシアは欧州でトップの国防支出国であり、2021年の国防予算は659億米ドルである。ウクライナとの継続的な紛争やNATO諸国との国境を越えた紛争は、防衛装備品、武器、関連弾薬の需要を増加させた。ロシアがウクライナの軍事占領を維持しているため、ロシア軍は年末までに大規模な兵器不足に直面する可能性がある。
- 最近の対ロ制裁とウクライナ軍による反攻の成功により、ロシア軍の砲弾や装甲車の備蓄は急速に減少している。同時に、空爆や誘導弾の能力も年内に枯渇すると予想される。このため、次期には弾薬の購入が強化される可能性が高い。
- ロシアはBMPT装甲車を積極的に開発している。この装甲車は、敵の戦車や地上要員を含むさまざまな目標に対処できる各種ミサイル、軽砲、機関銃を搭載することを目的としている。ウクライナとの本格的な戦争の最後の半年間で、ロシア軍は700万発以上の砲弾を使用した。このように、国防費の増大と軍需品の調達増が、予測期間中のロシアの弾薬需要を牽引すると予想される。