マーケットトレンド の クエン酸 産業
クリーンラベルとナチュラル/オーガニック原料への需要の高まり
- 政府による禁止・制限の導入や様々な研究プロジェクトにより、消費者は合成食品添加物の健康への悪影響についてますます認識するようになっている。これらの添加物は、運動機能亢進症、腫瘍、皮膚発疹、腎臓障害、偏頭痛、睡眠障害、喘息、腸内環境の悪化などの健康問題を引き起こす可能性がある。その結果、天然添加物へのシフトが進み、消費者の間ではクリーンなラベルと天然素材が好まれるようになった。
- 世界保健機関(WHO)、食品医薬品局(FDA)、欧州食品安全局、インド食品安全基準局(FSSAI)などの政府当局は、合成成分の有害性を認識し、食品への使用に関するガイドラインを定め、食品・飲料メーカーはこれを遵守しなければならない。さらに、食品の安全性に関する懸念に対処するため、様々な団体が啓発プログラムや研究プロジェクトを立ち上げ、食品・飲料製品に植物から抽出したオーガニック成分の使用を推進している。
- 例えば、オーガニック・インディアは2022年にインドで「#TowardsHealthyEatingという新しいキャンペーンを開始し、子供たちの健康的な食生活を促進することを目的としている。その結果、世界の食品業界は、食品開発プロセスにおいてこうした側面をさらに重視することで、消費者の高い要求に応えつつある。
2022年、アジア太平洋地域が最大のシェアを占める
- 中国は、アジア諸国の中でも最大の食品添加物生産国・輸出国のひとつであり、食品・飲料業界で使用されるほとんどの成分カテゴリーにおいて、世界の成分市場のほぼ4分の3を占めている。中国は大規模に原料を生産し、他の地域よりも低コストで供給しているため、クエン酸の重要な輸出国となっている。
- さらに、中国は世界的な原料の主要消費国のひとつでもあり、拡大する医薬品産業が中国のクエン酸市場に成長機会をもたらしている。例えば、2021年に中国の医薬品事業は3兆3,000億人民元(5,156億米ドル)の営業収益を生み出し、前年から20%近い成長を示した。さらに、クエン酸を成分として使用する洗剤、食器用洗剤、サビ落とし製品などの家庭用洗剤の需要の高まりが、中国市場の成長をさらに促進している。
- 同様に日本では、酸味のある柑橘類は塩に次いで欠かせない調味料のひとつであり、日本料理の風味付けとしてよく使われている。日本では健康的な製品に対する需要が高いため、メーカーは安全で防腐剤不使用の自然食品として販売するため、自然由来のクエン酸を食品に組み込んでおり、日本市場における健康食品への需要の高まりに対応している。
- 日本はアジアで最も裕福で文化的な消費者市場のひとつであり、製品配合に使用されている原材料をよりよく理解できるような説明的表示が好まれるため、天然由来のクエン酸は日本の食品メーカーにとって理想的な選択肢となっている。