マーケットトレンド の 中国の高電圧直流 (HVDC) 送電システム 産業
HVDC架空送電システムが大きな成長を遂げる
- HVDC架空送電システムは、HVAC送電線に比べて送電線鉄塔の建設が簡単である。また、HVDC架空送電システムは、送電線1km当たりのコストや送電電力1MV当たりのコストなど、単位当たりのコストが低い。
- 世界の主要地域では、高圧架空送電は一般的な送電手段である。直流は、架空送電線ケーブルによる長距離送電の総コストを減少させる。
- さらに、高圧架空送電は、地下送電に比べて建設費がはるかに安く、修理も早い。しかし、人口密度の高い都市部や商業地区での用途は減少している。
- HVDC送電のコストは、ターミナル・ステーションのコストと送電線のコストに依存する。しかし、HVAC送電網の場合、HVDCに比べて導線が多く、機械的負荷が増加する。負荷の増加により、送電線コストは距離とともに増加する。HVACの場合、送電線100Kmあたりのコスト増はHVDCよりも大きいため、長距離送電ではHVDCの方がコスト効率の高い選択肢となる。
- 2021年3月、メルセンは中国の栄信匯光電気(RXHK)と広東-香港-マカオ大湾岸電力供給プロジェクトで200万ユーロ以上の受注契約を締結したと発表した。メルセンは、2つの高電圧フレキシブルHVDCコンバーターステーションに統合されたパワーモジュールを保護するため、約2万8,000枚の冷却プレートを供給する。
- 以上のことから、HVDC架空送電システムは予測期間中に大きな成長が見込まれる。
再生可能エネルギー源の普及が市場需要を牽引
- 中国の電力供給は大きな転換期を迎えており、化石燃料から再生可能エネルギーへとシフトしている。さらに、風力発電と太陽光発電が最も安価な電力源になりつつあり、脱炭素化の新たな機会をもたらしている。より多くの石炭発電所が廃止される中、再生可能エネルギー発電は、増大するエネルギー需要を満たす上で重要な役割を果たすと予想される。
- 太陽光発電や風力発電を中心とする再生可能エネルギー発電のコストは下がり続けている。その主な理由は、製造技術革新、風力タービンの素材や設計の改善、規模の経済性などである。
- 中国の洋上風力発電のような再生可能エネルギー発電施設は、一般的にエンドユーザーから遠く離れた場所にある。そのため、発電した電力を消費者に供給するには長距離送電線が必要となる。
- HVDCは多くの送電網で不可欠な要素となっている。HVDCは、遠隔地の発電源(水力や風力などの再生可能エネルギー)を、数百キロから数千キロ離れた必要な負荷センターに接続することができる。
- HVDC送電線は長距離送電に適しているため、送電会社にとってHVDC送電線は、再生可能エネルギー発電所のためのHVACよりも魅力的な選択肢である。HVDC送電線は、高い可用性、最小限のメンテナンス、低損失(HVAC送電線より約50%以上)を保証する。
- 同国の洋上風力エネルギー部門は、総設備容量が徐々に増加すると予想されている。このため、今後数年間はグリッドと統合した再生可能エネルギーに対する大きな需要が生まれると予想される。したがって、太陽光発電所や陸上風力発電所に加え、洋上風力発電分野も、予測期間中に中国でHVDC送電システムに対する大きな需要を生み出すと予想される。
- 2020年、中国の再生可能エネルギー設備容量は894.88GWを超えた。再生可能エネルギーは前年(2019年)比で17.9%の伸びを示した。
- 2021年3月、シーメンス・エナジーは、中国南東部の浙江省台州市に位置する中国初の商業用66キロボルト(kV)洋上風力発電所「Yuhuan Offshore Wind Power Project Phase 1に22ユニットの配電変圧器を設置する予定であった。
- したがって、上記の点から、再生可能エネルギー分野での設置の増加が、予測期間中、中国の高圧直流(HVDC)送電システム市場を牽引すると予想される。