マーケットトレンド の バイオエネルギー 産業
バイオマスが市場を支配する見込み
- バイオエネルギーとは、木材や糞尿のように化学エネルギーを蓄えた有機物として特徴づけられる生物由来のエネルギーである。
- 国際エネルギー協会によると、現代のバイオエネルギーは世界最大の再生可能エネルギーであり、再生可能エネルギーの55%、世界のエネルギー供給の6%以上を占めている。現代バイオエネルギーの導入は、2010年から2021年の間に年平均約7%増加し、増加傾向にある。
- 国際再生可能エネルギー協会(International Renewable Association)によると、2022年の世界のバイオエネルギー設備容量は約1億4,890万kWで、2021年から5%増加した。
- バイオマスの供給源は、木質燃料、林業残渣、木炭、ペレット、農作物や残渣、都市廃棄物や産業廃棄物、バイオガス、バイオ燃料など様々である。大まかには、林業、農業、廃棄物の3部門に分類される。
- 2023年6月、インド政府は持続可能なエネルギーの実践を促進するためのイニシアチブをとり、電力省はバイオマス混焼政策の改定を発表した。この改正により、発電所はバイオマスペレットを基準価格で購入できるようになり、輸入依存度が下がり、再生可能エネルギーとしてのバイオマスの導入が促進される。
- 2023年6月、エネルギー情報局(EIA)が収集したデータによると、2023年3月に米国の高密度バイオマス燃料の総容量は1,336万トンに達し、その全容量が現在稼働中または一時的に稼働していないと記載されている。その内訳は、東部で196万トン、南部で1,051万トン、西部で88万4,200トンである。
- したがって、世界的に再生可能エネルギーへの需要が高まる中、バイオマス発電は予測期間中に大きな成長率を示すと予想される。
欧州が市場を支配する見込み
- バイオエネルギーは、2030年の再生可能エネルギー目標を達成するために、今後10年間も重要な役割を果たすと予想されている。そのため、欧州連合(EU)加盟国は、それぞれの国家再生可能エネルギー行動計画(NREAP)にバイオエネルギーという選択肢を組み込んでいる。
- バイオマスは不可欠な再生可能エネルギー源であり、2030年までにEUのエネルギーミックスに占める自然エネルギーの割合を45%にするという、2030年までの欧州の再生可能エネルギー目標達成のための重要な要素である。
- バイオエネルギーは、2022年の欧州の再生可能エネルギー設備容量の5.8%を占める。ドイツは、2023年には総設備容量の6.7%をバイオエネルギーが占めると予想されている。
- 2023年6月、スペインのエネルギー省は、2030年のバイオガスとグリーン水素の生産目標を倍増する計画を発表した。改訂された計画では、2030年の電解槽の目標を従来の4GWから11GWに、バイオガスの生産量を20テラワット時(TWh)に設定している。
- ドイツはバイオエネルギーの重要な担い手のひとつであり、バイオエネルギーの生産能力を絶えず拡大している。2023年2月、バイオガスプラントの設計・建設・運営を専門とするドイツのバイオエナジー社は、BlueHills Capital Projects (Pty) Limited社から、マラウイ中央部のンコタコタ地区に56MWelのバイオガスプラントを建設する契約を獲得した。このバイオガスプラントには、周辺の農園から採れるネピア牧草が供給される。
- さらに、イタリアのような国々が、この地域のバイオエネルギー分野の成長を支援する可能性が高い。2023年6月、Enterra社はイタリアのバイオマス発電所向けに、UniCredit社から3,800万米ドルのプロジェクト融資を受けた。アプリア州南部のフォッジャに位置する13MWのプラントは、バイオマスから電気エネルギーと熱エネルギーを生産する。
- したがって、今後予定されているプロジェクトと、今後数年間でカーボンニュートラル環境を達成するという目標により、この地域は予測期間中優位を占めると予想される。