マーケットトレンド の バイオベースポリマー 産業
包装業界からの需要の増加
- パッケージングは、バイオベースポリマーにとって最大の市場のひとつである。これらのポリマーは、優れた透明性と光沢、食品油脂に対する耐性、アロマバリア性を示す。さらに、パッケージングに剛性、ねじれ保持性、印刷適性も与える。
- バイオベース・ポリマーは、スーパーマーケットでの果物や野菜の包装、パンの袋やベーカリーの箱、ボトル、封筒、陳列用カートンの窓、ショッピングバッグやキャリーバッグなどに主に使用されている。例えば、インド商務省によると、2022年度のインドからの生鮮野菜の輸出額は約8億200万米ドルであった。加工野菜については、同年の輸出額は約4億2,500万米ドルで、2020年と比較して生鮮野菜で10.87%、加工野菜で0.21%の増加となっている。したがって、生鮮野菜と加工野菜の輸出の増加は、同国におけるバイオベースポリマーの需要を生み出すと予想される。
- 包装用バイオベースポリマー市場は、欧米地域で急成長している。食品の安全性に関してFDAや関連団体の介入が増加していることが、飲料やスナックの消費用に生分解性で食品グレードのプラスチックの使用を大きく促進している。
- レストラン・チェーンや食品加工業界では、食品包装に生分解性素材を採用するケースが増えている。また、発がん性が証明されているプラスチックもあるため、消費者の意識も、特に新興経済国において、食品の安全性という観点から急速に高まっている。
- アジア太平洋、南米、中東のような発展途上地域での成長は、様々な食品安全団体の食品包装基準の改善により、近い将来増加すると予想される。
- さらに、生分解性ポリマーの廃棄のしやすさが、包装業界からの需要の増加にさらに拍車をかけている。
市場を支配するのはヨーロッパ地域
- 欧州がバイオベースポリマーの最大シェアを占め、世界市場を支配している。
- 同地域の社会意識と政府の取り組みが、キャリアバッグ、食品包装、フードサービス(カトラリーなど)、有機廃棄物のキャディーライナーなどにおける生分解性ポリマーの使用を支えている。
- この地域の様々な国が、より環境に優しい包装を提供することに注力している。このため、包装分野でのポリ乳酸の需要が増加している。
- イギリス(UK)は、バイオベースポリマー包装の需要が増加している欧州の主要国のひとつである。包装製品の持続可能性要因に対する意識の高まりと最近の政府の取り組みが、同国における調査市場の成長に有利な市場シナリオを生み出している。
- 使い捨てプラスチックの禁止は、バイオベースポリマー包装製品の需要に直接影響を与える主な要因の一つである。例えば、英国政府は2021年、プラスチック汚染に取り組むため、英国で使い捨てプラスチック製カトラリー、皿、ポリスチレン製カップを禁止する計画を発表した。
- 包装業界で事業を展開する新興企業だけでなく、複数の既存ベンダーも、国内でバイオベースポリマー包装を推進するためのイニシアチブを取っている。例えば、2022年6月、英国を拠点とするマジカル・マッシュルーム・カンパニー(Magical Mushroom Company)は、植物由来の持続可能な包装のために340万ユーロ(331万米ドル)の資金を確保した。
- 現在、英国のパッケージング部門の年間売上高は110億英ポンド(約1.6兆円)で、8万5,000人以上を雇用している。
- 欧州連合(EU)は、2050年のネット・ゼロ・エミッションの目標に向けて取り組んでおり、欧州グリーン・ディールを実施することで、増大する環境と持続可能性の危機に対処している。より持続可能な社会への傾斜は、欧州経済におけるプラスチックの生産、使用、廃棄と絡み合っている。
- 小型包装のニーズの高まりと、ライフスタイルの変化に伴う消費習慣の変化は、予測期間中にバイオベースポリマーの需要を促進すると予想される。