マーケットトレンド の アジア太平洋地域のセルフストレージ 産業
消費者意識の高まりと人口密度が市場成長を牽引
- 厳しい経済状況の中、多くの企業が苦境に立たされているにもかかわらず、この地域ではセルフストレージ施設が順調に拡大している。消費主義文化、電子商取引の拡大、居住スペースの狭小化、人口増加により、個人・家族から身の回り品を保管するための安全で効率的な施設への需要が高まり、セルフストレージへの需要が急増している。
- 都市化の進展は、市場成長を積極的に後押しする重要な要因のひとつである。都市人口の増加により、頻繁に引っ越しをするテナントが増え、都市部では居住エリアが狭く、割高になる。セルフストレージ・ビジネスは、アジアの人口が多く、豊かな地方都市に定着している。裕福な地域は、住民が家の中でより多くの場所を占める贅沢品を購入する傾向が強い。ワインやアンティーク家具、電化製品など高価な品物を保存するため に、空調管理された保管用コンテナなど、特殊な保管オプションへの 需要が高まっている。
- この地域で平均住居面積が最も小さいのは、シンガポール、香港、東京である。シンガポールは人口密度が高く、平均住居面積は730平方フィートとアジアで最も小さい。75%以上の住宅に収納スペースがない。都市再開発庁(URA)の情報によると、シンガポールでは過去5年間で住宅価格が上昇している。さらに、中国やインドなどでは人口密度が高まっており、予測期間中の市場成長率に寄与している。セルフストレージ企業はアジア全域に進出し、老朽化した施設の改築や新築の準備を進めている。さらに、市場の需要の変化に対応するため、長期保管利用者の需要が増加し、同地域での拡大が顕著になると予想される。
アジア太平洋地域で最大の賃貸可能面積を持つ日本
- 日本では、セルフストレージ市場が消費者や新たな不動産投資商品として徐々に認知され、ここ数年で市場規模が拡大している。家具や貴重品の住まいの分散化、非常時や地震などの自然災害に備えたサバイバルフードの備蓄、セルフストレージ業界への注目も高まっている。
- 日本におけるセルフストレージの事業区分は、トランクルーム、レンタル収納スペース、レンタルコンテナの3つがある。まず、倉庫業法に基づいて運営されるいわゆる「トランクルーム。これらの事業者は、保管した物件の代金を顧客に返済しなければならない。次に「レンタル収納スペースと呼ばれる、ビルや専用施設に設置された部屋を賃貸する形態。最後に「レンタルコンテナと呼ばれる、主に屋外に設置された貸しコンテナである。
- さらに、B to Bの業態ばかりに目を向けていた倉庫業が、新たな業態として一般消費者をターゲットにしたトランクルーム事業へと業容を拡大している。さらに、トランクルーム・セルフストレージ施設は、国内の大手市場ベンダーが革新的なソリューションを提供し、大きな支持を集めている。セルフストレージ施設は日本では「トランクルームと呼ばれている。
- 例えば、キュラーズが2021年11月に実施した「年間供給量調査に基づく最新の推計によると、トランクルーム市場(屋内・屋外を含む)は670億円と大幅に拡大し、過去10年間で倍増している。さらに、同調査によると、テレワークやオンライン学習の急速な浸透、在宅生活の進行といった生活環境の変化により、新たな収納ニーズが発生しているという。