マーケットトレンド の アジア太平洋地域の原子力発電所と設備 産業
加圧水型原子炉(PWR)が市場を支配する
- 原子力発電所の安全性に対する懸念が高まっているため、事業者は、利用可能なすべてのタイプの原子炉の中で最も安全な加圧水型原子炉を好む。加えて、加圧水型原子炉は水が放射性物質を汚染するのを防ぎ、環境破壊を回避する。
- 2021年現在、世界中で442基の原子炉が運転中で、そのうちPWRは302基、発電容量は287ギガワット(GWe)である。中国には47基のPWRがあり、その容量は4554万kWeである。
- PWRは、高温を維持しても高圧の水が液体の状態を保つように、頑丈な配管と重い圧力容器を必要とするため、建設コストが高くつく。したがって、PWRの需要拡大は、予測期間中、原子力発電所設備市場に大きな影響を与えると予想される。
- さらに、中国では、原子力発電所の90%以上がPWR型の原子炉を搭載する予定であるため、PWRが主流になると予想される。
- PWRは最も商業化された原子炉設計タイプであり、このためPWR型原子炉が原子力発電所設備市場で優位を占めている。PWRは、効率が低く初期投資が高いにもかかわらず、成熟した技術であり、運転コストが比較的低い。このため、原子力エネルギー分野が成熟している国も若い国も、ほとんどの国がPWR技術に投資しており、予測期間中はこのタイプの原子炉が市場を支配すると予想される。

市場を支配する中国
- 中国は世界最大の原子力発電国のひとつであり、世界の原子力発電量のほぼ13%を占め、2020年には同国の電力の4.9%を原子力発電が占めることになる。中国には運転可能な原子炉が53基あり、その正味容量は50.8GWeである。
- 中国政府は、2030年までに150GWを達成する計画で、原子力発電のためのドライブ・ビルド・プログラムを計画しており、強力なプロジェクト・パイプラインが原子力発電所設備市場の見通しを強めている。
- 国際原子力機関(IAEA)の統計(2021年)によると、中国は2020年に約47,528MW(e)の原子力発電容量を送電網に接続した。正味容量は2019年と比較して4.4%増加した。
- 国家発展改革委員会によると、中国は2035年までに200GWeの原子力発電容量を確保することを目指している。これが予測期間中の原子力発電所設備市場を牽引すると予想される。
- 2021年7月、中国核工業集団公司(CNNC)は、中国海南省の長江原子力発電所でACP100小型モジュール炉実証プロジェクトの建設を開始した。このプロジェクトは、世界初の陸上型商業用小型モジュール炉(SMR)となる。多目的125MWe加圧水型原子炉(PWR)は、電気、暖房、蒸気、海水淡水化用に設計されている。このプロジェクトは2026年末までに商業運転を開始する予定である。
- また2021年5月、中国とロシアは中国2都市で最大の原子力プロジェクトの起工式を行うと発表した。両国は天湾原子力発電所の7号機と8号機、徐達普原子力発電所の3号機と4号機を共同で建設する。天湾原発は江蘇省連雲港市に位置する。徐達普原発は遼寧省興城市にある。
- このため、新規プラントの建設に伴い、予測期間中、国内では原子力発電所と設備に対する需要が増加すると予測される。
