マーケットトレンド の アジア太平洋水力発電 産業
予測期間中、小水力発電セグメントが市場を支配すると予測
- 小水力発電分野は、発展途上国における小規模分散型エネルギー生産装置への投資の増加などの要因により、予測期間中に市場を支配すると予想される。
- 19世紀後半以来、小水力発電は孤立した地域で発電に利用されてきた。小水力発電システムは、小さな河川や、飲料水や廃水などの既存の水供給網に設置することができる。
- 大規模水力発電システムとは対照的に、小規模水力発電システムは、野生生物や生態系への環境影響をほとんど、あるいは無視できる程度に抑えながら設置することができる。
- 再生可能エネルギー源として、小水力発電は、その多用途性と低い投資コストにより、農村部や開発途上地域に手頃で持続可能なエネルギー源を提供する。
- 小水力発電システムの建設には、立地特性、発電所の規模、場所など、いくつかの要因が影響する。この技術のメンテナンス・コストは、他の技術に比べて比較的低い。
- 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によると、アジア太平洋地域の2021年の水力発電設備容量は608.72GWを記録し、2020年より4.1%増加した。
- これらの国々における農村電化への投資の増加が、小水力発電の需要を促進している。例えば、2022年4月、フローベル・エナジー社は、水平フランシスユニットを備えたベトナムのナムタン3HPP(8.75MW×2)の契約締結を発表した。プロジェクトはチュオンタイン投資建設株式会社が開発する。ナムタン3水力発電プロジェクトはベトナムのイエンバイ省に位置し、同社にとってイエンバイ省で8番目のプロジェクトとなる。
- 環境面での優位性、この種の水力発電所の建設にかかるコストの低さ、小規模水力発電所の開発への投資の増加などが、予測期間中に同分野を牽引すると予想される。
中国がアジア太平洋水力発電市場を支配する見込み
- 予測期間中、中国がアジア太平洋地域の小水力発電市場を支配すると予想される。中国は水力発電容量でアジア太平洋地域をリードしており、インドと日本がそれに続いている。
- 同国における小水力発電プロジェクトの増加、同国における投資の増加は、市場成長に影響を与える顕著な要因である。中国における小水力発電(SHP)は、出力50MWまでのものを指す。
- 国際水力発電協会(International Hydropower Association)によると、2021年には世界全体で26GWの新規水力発電容量が稼動し、2020年の21GWから増加した。この増加のほとんどは中国によるもので、中国では21GW近くの新規容量が稼動した。
- 2021年現在、中国は390GW以上の設備容量を持つ世界最大の水力発電国であり、ブラジル(109GW)、米国(102GW)、カナダ(82GW)がこれに続く。
- 2021年9月、中国政府は揚水発電開発の中期・長期計画を発表した。これらの計画では、2025年までに6,200万kW、2030年までに1億2,000万kWを達成するという野心的な目標が示されている。
- 2022年12月、青海省の国家発展改革委員会は24.6億米ドルの水力発電所を承認した。これは揚水式水力発電施設で、電力需要が高い時期に下部貯水池から上部貯水池に水を汲み上げる。2028年の完成後、発電所はフル稼働する予定である。